場外市場の老舗土産店がスイーツ開発に挑戦!北海道の食の魅力を世界へ。【株式会社丸市岡田商店】
2025年9月15日 公開
札幌場外市場で1955年(昭和30年)から土産店を営む丸市岡田商店。2022年にはスイーツブランド「メルカードスイーツまる」を立ち上げ、製造業にも踏み出したことで話題に。代表取締役社長を務める岡田隆志さんに、スイーツ開発に挑戦した経緯や今後の展望について伺った。
事業承継の志を胸に大手食品メーカーへ。
札幌市中央市場の通称“場外市場”で、北海道産の海産物や農産物などの土産物の卸売や販売に取り組む丸市岡田商店「きたいちば」。その3代目として生まれた岡田さん。小学校の卒業文集にも「家業を継ぎたい」と書くほど、物心付いたころから先代社長である父・隆道さんにあこがれを抱いていたという。
「休日に店を手伝う度に、父からは商売の厳しさをいつも聞かされ、『後を継ぐことは考えるな』と言われて育ちました。それでも後継への思いは変わらず、高校卒業後は経営学を学ぶため東京の大学へ進学することを決めました」
大学3年次からは関西の立命館大学経営学部へと編入し、企業を志す多くの仲間たちから刺激を受けたという。卒業後の2007年、岡田さんは、業務用のマヨネーズやドレッシング、サラダ、卵加工品などを製造するケンコーマヨネーズ株式会社に入社した。
「いずれ家業に入るとしても、まずは民間企業、それも同業である食品業界での経験を積もうと考えて就職しました。入社後は10年間営業として勤務し、原料のリサーチをしたり、工場での製造状況を確認したり、食品の製造工程を一通り学びました。父の店でも食品を多く扱っていたため、いずれ家業を継ぐ際、経験を生かしたいと考えていたんです」
「休日に店を手伝う度に、父からは商売の厳しさをいつも聞かされ、『後を継ぐことは考えるな』と言われて育ちました。それでも後継への思いは変わらず、高校卒業後は経営学を学ぶため東京の大学へ進学することを決めました」
大学3年次からは関西の立命館大学経営学部へと編入し、企業を志す多くの仲間たちから刺激を受けたという。卒業後の2007年、岡田さんは、業務用のマヨネーズやドレッシング、サラダ、卵加工品などを製造するケンコーマヨネーズ株式会社に入社した。
「いずれ家業に入るとしても、まずは民間企業、それも同業である食品業界での経験を積もうと考えて就職しました。入社後は10年間営業として勤務し、原料のリサーチをしたり、工場での製造状況を確認したり、食品の製造工程を一通り学びました。父の店でも食品を多く扱っていたため、いずれ家業を継ぐ際、経験を生かしたいと考えていたんです」
場外市場の老舗から絶品カヌレが誕生。
2017年、岡田さんは事業承継を決意し帰郷。丸市岡田商店への入社後は企業ビジョンの策定や従業員の意識改革、通信販売サイトの立ち上げなど、大手企業での経験を生かして次々と社内を整備していった。更にメーカーでの知見を基に、新事業として製造業にも乗り出したのだった。
「土産店として商品に向き合う中で、北海道には多くのすばらしい原料がありながら、それを生かしきれていないと感じていたのが発端でした。そこで『きたいちば』独自に土産菓子を作ろうと、自らパティシエと共に厨房に立ちました。乳製品をはじめとする北海道産原料を生かして作ろうと目を付けたのは、フランスの焼き菓子、カヌレです。お客さまの要望に耳を傾け、生地作りや焼き加減を何度も調整し、全国各地のカヌレと食べ比べながら、約1年間試行錯誤を繰り返しました」
こうして2019年、「北海道二段階熟成カヌレ」が誕生した。生地には北海道産の新鮮な素材を使用。焦がしバターのコク豊かな風味と、48時間熟成させて焼き上げることによって生まれた外はカリッと、中はモチっとした食感に、観光客のみならず地元民までもが「もう一つ」と手を伸ばした。
一度火が付いた人気はコロナ禍に至っても途絶えることはなく、カヌレの製造は早々に再開。2022年にはスイーツブランド「メルカードスイーツまる」を立ち上げ、さまざまなスイーツ製造に乗り出していった。
「土産店として商品に向き合う中で、北海道には多くのすばらしい原料がありながら、それを生かしきれていないと感じていたのが発端でした。そこで『きたいちば』独自に土産菓子を作ろうと、自らパティシエと共に厨房に立ちました。乳製品をはじめとする北海道産原料を生かして作ろうと目を付けたのは、フランスの焼き菓子、カヌレです。お客さまの要望に耳を傾け、生地作りや焼き加減を何度も調整し、全国各地のカヌレと食べ比べながら、約1年間試行錯誤を繰り返しました」
こうして2019年、「北海道二段階熟成カヌレ」が誕生した。生地には北海道産の新鮮な素材を使用。焦がしバターのコク豊かな風味と、48時間熟成させて焼き上げることによって生まれた外はカリッと、中はモチっとした食感に、観光客のみならず地元民までもが「もう一つ」と手を伸ばした。
一度火が付いた人気はコロナ禍に至っても途絶えることはなく、カヌレの製造は早々に再開。2022年にはスイーツブランド「メルカードスイーツまる」を立ち上げ、さまざまなスイーツ製造に乗り出していった。
目指すは100種の商品開発!世界に向けて輸出にも挑戦。
ブランド立ち上げと時を同じくして、3代目社長に就任することとなった岡田さん。後継の際、父から掛けられたのは「やると決めたことは必ず最後までやれ」という言葉だ。
「自らの手で開発した商品を責任を持ってお客様へ届けると父に約束しました。従業員向けの商品勉強会や海外研修、食にまつわる顧客ニーズや市場動向を知るための飲食店訪問なども実施しています。とはいえ必死に頑張りすぎると力尽きてしまうので、特に従業員には『元気に楽しく、笑顔で働こう』と声を掛けるようにして、一人ひとりが無理なく成長できる組織づくりを心掛けています」
2023年には「アレルギーが心配なお客さまにも食べられるお菓子を開発したい」「食品ロス削減を目指したい」という思いから、従来のカヌレをグルテンフリー仕様に再開発。北海道の米粉とさつまいもを使用した「北海道米粉カヌレ紅はるか」は、「北海道お土産グランプリ2024」で金賞に輝くほどの好評価を得た。更に現在はスイーツにとどまらず、酒やつまみ、カレーなど、さまざまなジャンルの商品を開発している。
「2025年はジャンルを問わず、合わせて100種類の商品を開発予定です。国内だけではなく国外のお客さまにも販売するため、自社で直接商品輸出ができるよう体制も整えました。北海道産の原材料や加工品を、卸・製造・小売の三方向から全世界へ発信する、そんなグローバル企業を目指していきたいと考えています」
「自らの手で開発した商品を責任を持ってお客様へ届けると父に約束しました。従業員向けの商品勉強会や海外研修、食にまつわる顧客ニーズや市場動向を知るための飲食店訪問なども実施しています。とはいえ必死に頑張りすぎると力尽きてしまうので、特に従業員には『元気に楽しく、笑顔で働こう』と声を掛けるようにして、一人ひとりが無理なく成長できる組織づくりを心掛けています」
2023年には「アレルギーが心配なお客さまにも食べられるお菓子を開発したい」「食品ロス削減を目指したい」という思いから、従来のカヌレをグルテンフリー仕様に再開発。北海道の米粉とさつまいもを使用した「北海道米粉カヌレ紅はるか」は、「北海道お土産グランプリ2024」で金賞に輝くほどの好評価を得た。更に現在はスイーツにとどまらず、酒やつまみ、カレーなど、さまざまなジャンルの商品を開発している。
「2025年はジャンルを問わず、合わせて100種類の商品を開発予定です。国内だけではなく国外のお客さまにも販売するため、自社で直接商品輸出ができるよう体制も整えました。北海道産の原材料や加工品を、卸・製造・小売の三方向から全世界へ発信する、そんなグローバル企業を目指していきたいと考えています」
株式会社丸市岡田商店
1955年に札幌市にて創業。二条市場で塩干物商を始め、その後中央市場・場外に移転。半世紀以上にわたり、菓子・海産物・農産物・加工品など北海道の土産品を扱う卸・小売業者として事業を確立してきた。2022年からは自社ブランド「メルカードスイーツまる」を立ち上げ、菓子製造業を展開。卸・小売・製造業を一手に担い、北海道の魅力を全世界に発信している。
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
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