狩猟の世界に新風を。IT・DXの力で、ハンターと農家・飲食店をつなぐ。【株式会社 Fant】
2024年8月26日 公開
デザイナーが狩猟家に。きっかけはジビエ料理。
「特に油絵が好きで、よく地元十勝の風景画などを描いていました。その延長で東京にある大学の造形芸術学部に進学し、2013年、大学卒業と同時にグラフィックデザイナーとして東京の広告制作会社に就職しました」
広告や商品パッケージのデザイン制作に携わり、好きなことを仕事にまい進する日々を送っていた高野さん。しかし転機は突然訪れた。
「たまたま友だちと入ったレストランで人生初のジビエ料理を食べたんです。そのおいしさは衝撃的でした。うっとりとしている中、ちょうど店内に飾ってあった猟銃のレプリカが目に入って、ハンターになればジビエ料理が食べ放題だと発想して(笑)。衝動的に狩猟家になろうと決意しました」
高野さんのようにジビエ料理に魅了され、ハンターを目指す若者は意外と多いのだという。髙野さんも半年ほどで狩猟免許を取得したが、それだけではハンターにはなれないのが実情だ。
「猟銃を構えるためには、所轄の警察署で銃の所持申請手続きをしなければなりません。受理された後も身辺調査を受けたり、医師の診断をもらったりとさまざまな手順を踏んで、ようやくハンターとしての活動が可能になります」
すべてを終えていざ狩猟活動を始めようと意気込むも、東京では当然ながら好適環境が見つからない。野生鳥獣肉の利用が最多の都道府県は、北海道だ。髙野さんが地元に戻る決意をするまでに、そう時間はかからなかった。
狩猟技術の継承と、ハンターの交流の場を。
「猟友会は地域ごとに発足しています。私の所属していた猟友会はみんなフレンドリーな方ばかりで、和気あいあいとしていました。だけど他の地域の猟友会ではそうではないという話も聞こえてきて。ベテランハンターと若手とのコミュニケーションがうまくいかないとか、そもそもハンター同士の交流の機会がなくて困っているというケースもあるようでした」
全国的に見ても獣害が増える一方、ハンターは高齢化が進み、担い手の不足が問題となっている。ベテランハンターがいなくなってしまう前に、若手ハンターたちにその技術を継承させたい。そんな思いから髙野さんが立ち上げたのが「Fant」だ。当初はハンター同士が交流するためのSNSサービスだった。
「ところが、なかなか会話が弾まなかったり、そもそも自分のことを投稿したがらないハンターもいたりして、交流の場としては機能しませんでした。そこで、農家さんや飲食店などハンターを必要としている人たちと、各地域のハンターとのマッチングの場を提供することにしたんです」
ヒントになったのは、若手ハンターたちの「どこで狩猟したら良いのか分からない」という声だったという。
「実は知られていないだけで、若手のハンター人口は増えていたんです。でも継承やコミュニティになじめないから、活躍の場が無かった。私もハンターである身として、そんな現状を変えたかったんです」
狩猟業界のDX化で、活躍の場を拡げたい。
「鳥獣被害に遭った農家さんが、その場所をWEB上で指定すると、ハンターに通知が届き、最寄りのハンターが対応に向かうという仕組みをつくり、見事に成功を収めました。今後は自治体単位でサービスを利用してもらえるようアプローチしたいと考えています」
飲食店からも「Fantのプラットフォームを利用するとニッチなジビエが手に入る」と好評だ。ジビエ王国・北海道の新鮮な食材を求め、道外のジビエ料理専門店からもオーダーが入っているという。
「ジビエ料理を一人でも多くのお客さまに楽しんでもらいたいという思いはますます大きくなっています。エゾシカの血を使ったソーセージもおいしいですし、被害ばかりがニュースになっているヒグマも、炭火焼きにするととてもおいしいんです。今後は更なる狩猟業界のDX化に貢献したいと思っています」
異業種からスタートアップを成し遂げた高野さん。改めて自身のこれまでを振り返り「人生は一度きり。やりたいと思ったことは、絶対に逃さない方がいい」と笑顔で語った。
株式会社Fant
https://fant.jp/
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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