注目企業のトップに聞くin北海道 「なのに系」ガス会社として初志貫徹で地域貢献に挑む。【北海道ガス株式会社】

2024年4月22日 公開

「北ガス」の愛称で親しまれ、北海道のエネルギーの安定供給を担う北海道ガス株式会社。ガスの供給にとどまらず、電力事業にも乗り出し、2016年には「北ガスの電気」の販売を開始。脱炭素問題や人口減少など、さまざまな切り口から北海道の地域課題に向き合いたいという川村さんに、地域貢献に対する思いや、今後の展望などを伺った。
代表取締役社長/川村智郷さん
余市町出身。小学生から野球に打ち込んでいたが、高校時代に夏目漱石など近代文学の世界に引かれ、早稲田大学教育学部国語国文学科へ進学。1992年、卒業と同時に北海道ガスに入社し、経営企画、電力事業立ち上げ、DX推進などを経験し、2022年に52歳で社長に就任。

近代文学への興味から上京。満員電車で気付いた地元愛。

余市町出身。幼少期は野球少年だったという川村さん。小学校のころはプロ野球選手にあこがれていたという。高校時代には、甲子園を目指す傍ら、友人の影響で近代文学にも興味を持ち、早稲田大学教育学部の国語国文学科に進学した。特に、夏目漱石などの近代文学が好きだったという。

ところが海と山に囲まれた余市町で生まれ育った川村さんはなかなか都会になじむことができなかったという。満員電車を避けるため、わざわざ徒歩通学ができるアパートに住んでいたというエピソードからも、その苦手ぶりが伺える。
「でもこの経験のお陰で自然豊かな環境で暮らせることが、自分にとってはとても大切で価値のあることだと気付きました。同時に離れて暮らしたからこそ地元に貢献したいという気持ちも生まれ、卒業後は北海道で働きたいと思うようになりました」

就職活動では北海道企業だけの面接を受けたという川村さん。文学を学んだのに、なぜガス会社に就職したのかという質問にはこう答える。
「学生時代の知識や経験は社会人となっても大切ですが、一方で、会社に入ってから仕事を通して学べることも非常に多いと思います」

天然ガスへの変革期、エネルギー自由化時代を担う。

1992年の入社後間もない1996年、会社は石油系ガスから天然ガスへの転換事業を開始。その後14年間、およそ50万件もの顧客を回って、ガス機器や設備を調整していく。川村さんは、ガス料金制度の面などから、その時代を支えた。またその間3年ほど、東京への出向も経験した。
「日本ガス協会というガス事業者団体に出向しました。エネルギー自由化に向けての意見をとりまとめる仕事をしていたため、ガスやエネルギーについて学びを深める、とても有意義な3年間となりました」

2014年からは電力事業の立ち上げに携わった。2016年の電力自由化に伴って生まれた「総合エネルギーサービス事業」とは、暮らしに必要なエネルギーを高度に組み合わせ、お客様に寄り添ったエネルギーマネジメントサービスを提供するという事業。
「それまでガスだけを販売してきた社員に、同時に電気も販売することの意義を理解してもらうことが意外にも困難でした」

その後、52歳という若さで社長に就任した川村さん。前社長とは20歳ほどの年齢差があり、14年ぶりの社長交代だったこともあり話題となった。
「話を受けたときはまさに晴天のへきれきで、即決は難しく考える時間をもらいました。決め手となったのは、入社のきっかけでもあった『地域に貢献したい』という思いを、より具体的に実現できると考えたからです」

カーボンニュートラル実現のため地域課題や環境問題に取り組む。

川村さんが社長に就任した後、注力しているのは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」実現のために、さまざまな挑戦に取り組むこと。その姿勢を表すのが、広告で使用している「なのに系ガス会社」というキャッチコピーだ。
「ガス会社であることにこだわらない事業展開をより推進していきたいと考えています。最近の取り組みでいうと賃貸住宅事業がその例です。エネルギー事業者としての強みを生かし、省エネルギー性能や災害対応力の高い賃貸住宅を提供するなど、住みよい暮らしづくりを通じた地域貢献を目指しています」

また北海道は再生可能エネルギーの宝庫であることから、北ガスグループ全体で地域と連携しながら再エネ普及の取組みを進めているという。
「徹底的な省エネルギーとエネルギーマネジメントの高度化により『ガス・電気プラスアルファの総合エネルギーサービス事業』を北海道全域に展開し、2050年に向けたカーボンニュートラルへの挑戦を追求していきます。そのためには、デジタル技術を活用していくことが不可欠だと考えています」

川村さんが社長として大切にしているのは、日常的に「何のために仕事をするのか」を考えること。何のために事業があるのか、何のために自分がここで働いているのか、突き詰めていくと、川村さん自身は「地域に貢献したい」という原点に帰結するという。まさに初志貫徹の精神だ。
「社員にもそれぞれの持ち場で仕事の目的や自分の役割を考えるよう話をしています。世界的な課題や新しい技術に目を向けながら、感じ、考え、挑戦していきたいと思います」

北海道ガス株式会社

1911年に設立。札幌・小樽・函館を拠点にガス供給事業を開始して以来、1世紀以上にわたり北海道のエネルギー基盤を支えてきた。現在は全道9都市に都市ガスを供給。2016年より電力小売事業にも携わり、全道各地で電気を販売。他、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいる。
北海道札幌市東区北7条東2丁目1-1
TEL.0570-008800(ナビダイヤル)
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時25分〜放送中!

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