注目企業のトップに聞くin北海道 ディスカッションできる職場と地元と交流していく施設を職員と一緒につくっていきたい。【新川エバーライフ】

2023年3月6日 公開

医療と福祉の調和と充実をテーマに、温かく誠実な介護に取り組んでいる介護老人福祉施設、新川エバーライフ。同施設のトップとして多彩な職務に当たる市江麻子さんに、ご自身の仕事の変遷や施設の特徴、働きやすい環境づくりなどについて伺いました。
社会福祉法人札幌恵友会
介護老人福祉施設 新川エバーライフ
施設長/市江麻子さん
管理栄養士から介護施設のリーダーになったというユニークな経歴の持ち主。2021年に新川エバーライフ施設長に就任。明るくオープンな性格を生かした「風通しのいい職場づくり」に努めている。

現場感覚を忘れないリーダーになってほしい。

もともとは管理栄養士だったとか。

はい。札幌恵友会へは、管理栄養士として入職しました。当初は「介護食」という分野で自身の専門性を発揮していましたが、より広い視点で業務に当たってほしいという経営陣の意図を受け、2013年に支援課課長に昇格し、2017年にエバーライフの副施設長、翌年に福寿園の施設長を経て、現在の新川エバーライフ施設長という役職に就いています。

現場感覚があるからでしょうか、とても親しみやすい印象です。

ありがとうございます。たくさんのスタッフと働いていますが、部下というより仲間的な意識が強いです。世間話やグチなんかも話しますので、職員も上司と話してる的な気持ちを、あまり抱いていないような気がしています(笑)

交流と生きがいを生む、地域に開かれた施設。

運営という観点からの新川エバーライフの特徴は?

地域に根付いた介護施設を目指していることでしょう。お年寄りだけでなく、子どもたちや学生など地域住民のみなさまとの触れ合いや交流を大切にしています。

具体的には?

施設に札幌国際情報高校(新川)の吹奏楽部を招いて演奏会を開催していただいたり、地元の中学校に当法人のスタッフを講師として派遣し「介護の仕事の出張講座」に取り組んだり。コロナ禍でここ数年中止になっていますが、地域の方にボランティアとして来ていただき、入居者様とのお話しや、お茶の提供、花壇づくりにも取り組んでもらいました。情報高校の吹奏楽部は演奏とダンスを交えた「ダンプレ」というパフォーマンスを披露してくれます。とても盛り上がるんですよ(笑)

施設を閉ざされた空間にしたくないという願いを感じます。

地元の子どもやファミリーが気軽に来訪できるようになれば、利用者様も生きがいを感じるでしょう。職員たちと接する機会が増えれば、介護という仕事に対する理解も深まりますし、学生の皆さんの職域の広がりも期待できます。地元との交流は、これからの介護施設には必須の取り組みになると感じています。

働きやすさをリアルに感じる工夫を。

働きやすい環境づくりにも前向きだとか。

最も大きな特徴は、労働時間の短縮化でしょう。業界的には8時間勤務が定着していますが、ここは7時間勤務が基本です。日勤の場合は9時出勤、17時退勤となっているため、ご自宅で介護をされている方や子育て中の主婦には特に好評です。特養なので夜勤はありますが、明けの日と翌日は必ず休みにしていますし、新人は慣れるまで夜勤をさせないという配慮もしています。また介護職のサポートに徹するスタッフを配置しているのも特徴の一つです。現場からは、雑務に時間を取られることがなくなり、本来の自分の仕事にかかれるようになったという声が届いています。

ロボットなども導入しているようですね。

スタッフの腰痛予防に効果を発揮する介護用ロボットをフロアに一台ずつ設置しています。また利用者様の日々の様子などをデータ化している専用タブレットも導入しており、スタッフ間の情報共有、トラブルの防止、業務の効率化やスピードアップに効果を発揮しています。

ご自身が心掛けていることは?

会議をディスカッションの場にすることです。会議が形骸化していくと、上司や担当者からの指示や報告など、一方向の話で終了してしまいがちです。これではやらされている感が溜まりますし、職場も活性化しません。私が率先して何でも言える雰囲気、自由に話せるムードをつくり、現場ならではの意見、ユニークなアイデアなどを積極的に吸い上げるよう努めています。

働きやすさを進化させていくということですね。

はい。それぞれの意見や思いをしっかり伝え合えば、介護の現場はもっと働きやすく、楽しくなると信じています。

社会福祉法人 札幌恵友会
介護老人福祉施設新川エバーライフ

現在介護職(29名)看護職(5名)生活相談員(2名)の他、介護支援専門職員や管理栄養士などが勤務し、心のこもった手厚い介護に取り組んでいる。一日7時間勤務、サポート専門スタッフの導入など、職場環境の改善に積極的なことでも知られる。
北海道札幌市北区新川715番地2
TEL.011-764-3663
http://www.keiyu-kai.org

注目企業のトップに聞くin北海道

最新記事5件

「日本をあったかく」。「ほのか」が目指すまちづくり。【株式会社丸新岩寺】 2024年9月2日 公開

温浴施設を地域のコミュニティにしていきたいと語る代表の高橋さんに、今後の展望などを伺った。

明治から函館と共に歩む五島軒。変化し続ける老舗のこれから。【株式会社五島軒】 2024年8月26日 公開

5代目社長を務める若山さんに後継を決意したきっかけや、道民なら誰もが知る「函館カレー」のリニューアル秘話、今後の展望を伺った。

狩猟の世界に新風を。IT・DXの力で、ハンターと農家・飲食店をつなぐ。【株式会社 Fant】 2024年8月26日 公開

株式会社Fant(ファント)の代表を務める高野さんにグラフィックデザイナーから転身したきっかけや今後の展望について伺った。

「ジンギスカンのマツオ」から「羊肉といえばマツオ」を目指して。 2024年8月5日 公開

羊肉の新たな可能性を探るマツオの4代目社長松尾吉洋さんに、後継のきっかけや今後の展望などを伺った。

現役選手が生んだ新チーム。カーリングで未来を彩る。【一般社団法人ロコ・ソラーレ】 2024年7月29日 公開

代表を務める本橋麻里さんに、カーリングを始めたきっかけや今後の展望などについて伺った。