
代表取締役/岩谷圭介
岩谷さんは福島県の出身。機械が動く仕組みを知るために、あらゆるものを分解するような幼少期を過ごしたという。そんな好奇心と知的探究心にあふれた少年は、ある日、将来の自分を重ねたくなる存在と出会った。それは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で目にしたエキセントリックな科学者「ドク」。発明家になることを固く決心した瞬間だ。
高校卒業後、オープンキャンパスで訪れた北海道大学の美しさに感激し、工学部へと入学する。岩谷さんは宇宙工学を専攻する中で、製造に膨大な時間とコストのかかるロケットではなく、誰もが気軽に宇宙にたどり着ける方法を模索した。
転機が訪れたのは2011年。海外の大学生が風船にカメラを取り付けた装置で上空からの撮影に成功したというニュースがヒントになった。岩谷さんは同様の手法を用いて、たった一人で何度も試行錯誤を重ねながら、翌年には上空30kmから青い地球の姿を撮影することに日本で初めて成功した。宇宙は思った以上に身近だった。
卒業後の進路は、研究者や就職ではなく起業。茨の道にも思えるが…。
「根がせっかちなんです。研究職にしても企業の開発部門にしても、好きなテーマを自由に研究できる立場になるには長い時間が必要ですし、運にも左右されます。発明家への最短距離を歩むには、起業してお金を稼ぎながら研究を続ける道がベストでした」