北海道の地域おこし協力隊 「好き」「得意」を発揮して、上川町をプロデュース!

2023年5月29日 公開

北海道の屋根・大雪山のふもとに広がる上川町。このまちの地域おこし協力隊は、自らが主体的に面白いことを追求しながら、今までにない働き方を生み出すプロジェクト「KAMIKAWORK(カミカワーク)」を推進する「KAMIKAWORKプロデューサー」として活動するユニークなスタイル。分野はフード・コミュニティー・クリエイティブ・アウトドア・クラフトと多様。

今回は、地域おこし協力隊の活動や上川町の取り組みなどについて3組の方々にお話ししてもらいました。

「飲食店を開きたい!」が、上川町で本当に実現。

元フードプロデューサー/小山内力・沙紀さんご夫婦
私たちは名古屋に暮らしていて、当初は瀬戸内海エリアのまちに移住しようと考えていました。けれど、「移住フェア」で上川町と出会い、「KAMIKAWORK」というユニークな働き方・活動を知って心が揺れ動き始めたんです。私たちは飲食業界の経験がないものの、将来的には夫婦で喫茶店やホットドッグ店を開きたいと思っていました。上川町の地域おこし協力隊は、任用期間の終了後に飲食店開業を目指せると聞いて決意が固まったんです。

地域おこし協力隊の活動では、フードプロデューサーとして「大雪かみかわ ヌクモ」のカフェスペースで働き、任用期間終了間際にいよいよ独立の段取りが整いました。ホットドッグ店に使用するソーセージは、ヌクモのカフェで提供していた精肉加工店「山麓の四季」のソーセージがピッタリだと確信。実は地域おこし協力隊の活動と並行して加工の修行もさせてもらっていました。そこで、山麓の四季のオーナーである安部さんを訪れたところ、その場で「跡を継がない?」と思わぬ打診をいただいたんです。まったくの想定外で頭の中が真っ白になりましたが、このソーセージがないと僕の理想とするホットドッグが作れないと思ったので、二つ返事で「継ぎます!」と答えました。

しかも、安部さんが経営していた居酒屋もコロナ禍で休業状態だったため、店舗も貸してもらうことになりました。ありがたい限りですし、飲食業の経験がない私たちを「KAMIKAWORK」のフードプロデューサーとして受け入れてくれたからこそ、つながったご縁。今は、ホットドッグ店の運営に加え、ソーセージやハムづくりも継承し、忙しい日々を送っています。やりたいことが実現でき、人生が本当に充実しています。

コミュニティープロデューサーの仕事とヨガの組み合わせ!

コミュニティープロデューサー/大角 武さん
アメリカ留学中、ホームシック状態の自分を救ってくれたのがヨガ。帰国後にすぐインストラクターの資格を取りましたが、独立するまでの自信はありませんでした。僕は就職までの間、地域で仕事をしながら1カ月間まちに滞在する総務省の「ふるさとワーキングホリデー」に参加し、東川町で暮らしたことがきっかけで北海道が大好きになったんです。その後、地域おこし協力隊という働き方に魅力を感じていたところ、知人から「上川町が面白そうだよ」と聞きました。

調べてみると、上川町の地域おこし協力隊は「フード」「アウトドア」「クラフト」といった分野に分かれているので立ち位置やミッションが明確。未来の自分を想像しやすく、「面白そう」と直感しました。現在の役割は「コミュニティープロデューサー」。僕は面接の段階から、ヨガインストラクターの事業を並行するつもりでした。「将来はヨガインストラクターとして独立したい」と町役場側にも伝えていて、体験型複合施設「大雪かみかわ ヌクモ」での勤務の中で、次々とヨガの企画を形にしています。

僕のやりたかった「外ヨガ」のできる環境としても上川町は最適。大雪山系の黒岳があり、「大雪 森のガーデン」や「層雲峡オートキャンプ場」、風光明媚な高原もあります。最近は「黒岳ヨガ」や「朝ヨガ」、ピザづくりや読書体験と合わせた「ヨガマルシェ」を開催中。町民の健康寿命を延ばそうと、月に2回は「シニアヨガ」も開いています。僕自身はコミュニティープロデューサーを経験したことで卒業後の目標も見つけましたし、他の地域おこし協力隊やOB・OGたちからも常に刺激をもらえる環境です。

誰が作ってもおいしく食べられるチーズづくりを。

KAMIKAWA KITCHEN 責任者/安住正弘さん
上川大雪酒造が、町の地産地消拠点「上川町たべもの交流館」の指定管理者となり、町内の生乳を使ったチーズづくりをこの場所で行うことになりました。町内の主力産業である酪農に光を当て、上川でしか食べられない加工品を手がけようというのがきっかけです。

上川町で搾乳した生乳は、すべて旭川へ運ばれ、他地域のミルクと一緒になって「牛乳」へと加工されます。なので、「上川産」の生乳を酪農家や町の人たちが誇れるような100%上川産のチーズを作るのがミッションでした。

とはいえ、僕は経験を積んだ職人でなければ生み出せないチーズを作るつもりはないんです。誰が作っても同じくらいの、おいしく食べられるクオリティーが維持できればそれで十分。まずは町の人たちに自分たちの町の生乳で作ったチーズを日常的に食べてもらい、町の中で経済を循環させることも大事だと考えています。小さな町の地産地消ですね。

現在は未経験者が作っても、僕と同じくらいの味わいを作れる仕組みを考えながら、土日だけ「KAMIKAWA KITCHEN」としてチーズを販売しています。金曜にチーズ作りをし、土日に店をオープン。月曜から木曜はグラタンの仕込みを行ったり、町内の層雲峡へ営業に行ったりしています。今は週に1回届く生乳も、今後は3回になる予定。忙しくなるので、地域おこし協力隊のフードプロデューサーとして食に興味のある人、チーズづくりや加工品販売に関心のある人、町を盛り上げることに興味がある人などが来てくれたらうれしいですね。

まとめ:北海道上川町の地域おこし協力隊

◎5分野の「KAMIKAWORKプロデューサー」として活動
◎自身の「面白い」「好き」「得意」を突き詰めながら働ける環境
◎「大雪かみかわ ヌクモ」を拠点に「やりたい!」を後押し
◎任用期間終了後は町内で飲食店開業・独立なども可能
◎OB・OGにはすでに起業を果たしている人が多数

上川町地域魅力創造課 地域魅力創造グループ

北海道上川郡上川町南町180番地
TEL.01658-2-4063
「KAMIKAWORK」に関するお問い合わせフォーム
https://www.kamikawork.jp/contact/

北海道の地域おこし協力隊

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