北海道発!商品誕生エピソード【北海道リッチミルクプリン「KiNU」/株式会社ベイクド・アルル(江別市)】
2021年9月27日 公開
北海道産生クリームが織り成す、絹のような舌触り。

北海道産生クリームを道外、世界へ広めたい。

株式会社ベイクド・アルル
営業本部 デザイナー
今野 渓さん
「出来たての味わいを冷凍で閉じ込める技術も、弊社の強みの一つです。そのため取引先は道外が多く、スーパーマーケットや百貨店で開かれる催事での販売が中心となっています。また、台湾や韓国、シンガポール等にも商品を流通させ、アメリカ最大の日系スーパーからお取引を頂くなど、北海道ブランドを武器に積極的な海外展開にも力を注いでいます」
創業時から道産生クリームを使った洋菓子に定評があった同社。プリンも既にラインアップしていましたが、もっと生クリームの強みを生かした商品としてリニューアルしようと始まったのが「KiNU」の開発でした。
「世界に誇れる北海道の生クリームを、道外、海外に広めたいという思いで開発がスタートしたんです」
試行錯誤から生まれた、生クリーム配合の黄金比。
「乳脂肪分は低いほどあっさりと軽い味わいになり、高くなるほど深いコクと甘みが生まれます。しかし『脂肪』ですので、高過ぎると口の中に脂っぽさが残るのが難しいところなんです。濃厚な味わいと、しつこさのない軽さを両立させるため、さまざまな配合で試行錯誤を繰り返し、うまみのバランスがとれた〝黄金比率〟を発見しました。そして職人の手作業で、丁寧な裏ごしをした結果、この滑らかさが誕生したんです」
完成したプリンは当初「リッチミルクプリン」と社内で呼ばれていましたが、そこに待ったを掛けたのが、同社で唯一のデザイナーである今野さん。独特の舌触りを表現する、分かりやすい呼び方として「KiNU」と命名しました。
「プリンは競合がとても多いスイーツです。しかし、一口だけでも食べて頂ければ喜んでもらえるだろうという自信はありました。その一口目のために、ネーミングやデザインでお客様の目をいかに引き付けるかが私の使命なんです。多くのスタッフが開発へかけた思いをくみ取りながら、他社商品と並んだ時に差別化できるアイデアを熟考しました」
念願の受賞を経て、ECサイトで更にヒット。
「これまでも食品コンクールには何度も挑戦してきましたが、最高賞の受賞は初めてのことで、念願が叶った瞬間でした。社員一同声を上げて喜んだのをよく覚えています」
順風満帆にヒット商品の道へ歩むかと思いきや、昨年、新型コロナウイルスの影響でそれまで販売を担っていた物産展の中止が相次ぎ、大量の在庫が余る事態が発生します。そこで急きょ、本社の一角に臨時店舗を構えたところ、初日から多くの江別市民が詰め掛けてくれたそうです。
更にECサイトも立ち上げると、破竹の勢いで注文が殺到。『KiNU』の現在までの累計販売数は、なんと80万個を越えています。サイト利用者を統計したところ、東京に匹敵するほど道内の注文もあり、地元ファンの多さを物語る結果となりました。
「これまで道外を中心に販売していたので、正直ここまで地元の方から反響があったのは意外でした。そんな応援も相まって、現在は江別産小麦を使ったパン作りにも力を入れるようになりました。コロナ禍で息が詰まる世の中ですが、道外の方はもちろん、地元・北海道のお客様にも『ホッ』と一息つける瞬間をお届けしたい。そんな思いで、これからも励んでいきます」
ここがこだわり!開発のポイント
道産生クリームのおいしさを際立たせるために乳脂肪分47%と高濃度生クリームを使用し、道産100%の生乳と絶妙な割合で配合。味、香りともにミルク感が感じられる仕上がりです。
牛乳を注いだ時のミルククラウンを配し、立体的に立ち上がるデザイン。パッケージはデザイナーへ外注するメーカーも多いなか、「作り手の思い」を伝えるために今野さんがいちからデザインを考えました。
創業当時より、手作りの温もりを伝えるため、機械を使うのは最小限。飾り付けやトッピングに至るまで手作業です。「KiNU」では長年培った職人の技術で、丁寧に裏ごしし、滑らかな舌触りを実現しています。
株式会社ベイクド・アルル
北海道発!商品誕生エピソード
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