北海道発!商品誕生エピソード【日本古来の伝統に北海道らしさを取り入れた蝦夷和紙/蝦夷和紙工房 紙びより(札幌市)】
2020年11月30日 公開

いつも生活に寄り添う「紙」作りへの興味。

蝦夷和紙工房 紙びより
和紙職人・和紙作家
東野早奈絵さん
「紙はいつでも身近にあり、手紙を書いたり折り紙をしたり、自分にとって大切な存在でした。ところがその〝紙〟を作ったことはなく、作り方さえ知りませんでした。図書館でいろいろと調べるうちに改めて和紙の素晴らしさを知り、日本人として、和紙作りに携わってみたいと思うようになったのです」
越前和紙の産地を訪れ和紙作り工房に入門。
「和紙をはじめ、陶芸や漆器、刃物、織り物、眼鏡など、福井県は物作りが盛んな地域であり、誇り高い職人の町です。同時に女性の力が強いのも特徴で、越前和紙でもメインの工程となる紙漉きは女性の仕事で、男性は乾燥や釜焚き担当というのが一般的です。長寿の町としても知られ、高齢の方々が現役で活躍していることにも驚きました」
福井での紙作りに一生をかけることを決意し、日本古来の伝統文化を体感する生活を送っていた東野さん。ところが5年がたった頃、家族が体調を崩したことなどをきっかけに故郷である札幌に戻ることに…。そうして2012年にオープンしたのが『蝦夷和紙工房 紙びより』だったのです。
北海道の人にもっと和紙の魅力を伝えたい!
「私が職人目線で白さや滑らかな質感を追求しがちだったのに対し、皆さんからいただいたのは、それぞれの植物が醸し出す独特の風合いや色合いを楽しむコメント。個性あるテクスチャーを生かすことを考えるようになっていきました。そうして誕生したのが、工房の名前にも冠している『蝦夷和紙』でした」
東野さんの和紙は〝北海道だからこそ”が結晶したオンリーワン。枝の皮剥きや原料の栽培などにSNSで協力者を募ったり、ワークショップを開催したり…。東野さんは一人でも多くの方に紙作りに触れてもらい、その奥深さや魅力を感じてもらえるよう、さまざまな活動を推し進めています。
「ソーシャルディスタンスやペーパーレスが話題になる時代だからこそ、手作りの和紙に手書きで送るメッセージは人の心をより暖めてくれるはず。グンと長くなった『おうち時間』のなかに、携わった人の心がこもるこの和紙を取り入れていただけたらうれしいです」
ここがこだわり!開発のポイント
アイヌ民族が樹皮衣(アトゥシ)の材料としたオヒョウニレやハルニレ、ラワンブキなど北海道ならではの原料も積極的に取り入れます。
すべての工程が心のこもった手作業。漉き込んだ素材の繊維の出方、色の現れ方など、一枚一枚異なる
表情も魅力です。
工房では、SNSを中心に参加者を募る「蝦夷和紙プロジェクト」をはじめ、原料の加工や栽培などを通じて、和紙を身近に感じるための活動にも取り組んでいます。参加者の声が次の作品作りに取り入れられることも!
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伝統的製法の和紙に北海道の雪風景を重ねた唯一無二の風合い。
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高い集中力が必要な紙漉きの作業。常に水を扱う体力仕事でもあります。
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作品は工房、どさんこプラザ、有名ホテル売店などで販売中。
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温もりある手触りが魅力の手漉き和紙。工夫次第で用途は無限大です。
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2013年蝦夷和紙プロジェクトワークショップの様子。
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蝦夷和紙はがき500円〜。左上から時計回りにシラカバ、フキ、ササ、オヒョウニレ、ハルニレ。
蝦夷和紙工房 紙びより

TEL.011-891-8424
工房営業/10:00〜17:00、月曜〜日曜(水曜定休)
ショップ営業/10:00〜17:00、木曜〜日曜、祝日(臨時休業有)
https://ameblo.jp/kamibiyori/
北海道発!商品誕生エピソード
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