北海道発!商品誕生エピソード【大正9年創業の老舗が道産素材に魂を吹き込んだブルース納豆/南平塚食品株式会社(登別市)】
2019年7月29日 公開

品質とブランド力の探求で「選ばれる商品」を目指す。

社長/平塚正雄さん
出迎えてくれた平塚さんは、子どものころから家業の納豆作りを見て育ちました。
「昔の納豆には特に商品ごとの差別化はなく、スーパーに並んでいるものの中から少しでも安いものを買うという感覚が一般的でした。ところが、私が父の跡を継いだ頃、本州から『水戸納豆』という高級納豆が進出してきたんですよ。もうびっくりしましてね。高い品質とブランド力があれば、値段に関係なく物が売れるんだということを教えられました」
それを機に、自分も北海道ならではの納豆ブランドを確立しようと考えた平塚さん。有機農法について学び、土壌にもこだわった大豆栽培を手掛けるなど〝最高に美味しい納豆作り〟を始めました。もともと探求心旺盛な職人気質だったこともあり、倶多楽山系の伏流水をさらに活性化させた水を使ったり、蔵内に清浄な空気を対流させ、熟成中はヒーリングサウンドを流すなど、あらゆる側面からの研究を重ねます。
当時の常識を打ち破る高級納豆で得た全国的評価。
その後も平塚さんの研究はやむことなく、数年前からは納豆菌も自作するように。
「あまり知られていませんが、多くの納豆メーカーは、本州の納豆菌専門会社から菌を買って使います。うちも以前はそうでした。とはいえ、菌は生き物であり、納豆作りにおいて非常に重要な存在です。自分で育てるべきだと考えるようになり、茨城工業試験場の先生の協力を得て、自家培養に踏み切りました」
北海道の気候風土に合った菌でこそ、健康に育ち元気に力を発揮できるはずと、道産の稲わらから天然の納豆菌を採取して培養をしているそうです。
ゆったりした気持ちで納豆菌と向き合う新商品。
「これまでは、主に素材やその産地を全面に押し出したネーミングにしてきましたが、今回は作っている時の『気持ち』を前に出してみようかなと思ったんですよ」と平塚さんは笑います。納豆菌は生き物。作り手がイライラした気持ちで扱えば、それは必ず菌にも伝わってしまうというのが平塚さんの考えです。ブルースを聞いている時のようにゆったりした気持ちで菌に向き合うことを意識して作るのが、このブルース納豆なのだとか。
「それに加えて、原料が青大豆だというシャレもあるんですけれどね。青大豆、つまりブルーの大豆というわけです」
そんな遊び心を生かしてパッケージも実にユニークなブルース納豆。大粒の青大豆は雑味がなく、かむほどにほんのりした甘さと豊かな豆の風味があふれ出ます。
「医食は同源。納豆には血液をサラサラにし、腸内細菌も整えてくれる効果もあると言われています。美味しく食べて健康になる幸せを、たくさんの方に知ってほしいですね」
ここがこだわり!開発のポイント
豆の吸水工程では水温調節はせず、自然のままの水温で。低ければ時間を長く、高ければ短く調整し、豆に負担をかけません。
浸す、蒸す、発酵とすべての工程で関わる〝水〟。国立公園内に水源を持つ倶多楽山系の良質な水を活水器で磨いて使います。
原料の大豆は、ほんのりとした甘みを持つ「大袖振(おおそでふり)」。情熱ある農家が愛情込めて育てたものです。
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ユニークなパッケージも印象的。直売所、オンラインショップのみの限定品。300円(税込)。
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コクとまろやかさを追求し、経木に包まれた納豆の最高峰「豆の文志郎」。ネーミングは初代・平塚文四郎氏に由来。
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蔵に息づく納豆菌と平塚さん率いるスタッフたちの職人魂が「特別な納豆」を生み出していきます。
道南平塚食品株式会社

北海道発!商品誕生エピソード
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