小樽運河の傍らに立ち、運河と共に「小樽の顔」とも言える旧北海製罐第3倉庫(港町4)。小樽市の歴史的建造物に指定され、地元の人々にとっても長年親しんできた大切な建物です。運河完成翌年の1924(大正13年)に建設され、今年で100年を迎えます。
老朽化を理由に、所有者の北海製罐株式会社が解体を決めたのは2020年のこと。相談を受けた小樽市では解体までに一年間の猶予を求め、倉庫の今後についての議論を行うことにしました。市民からは保存を願う多くの声が寄せられましたが、費用や今後の活用方法など、保存のためにはさまざまな問題を乗り越えなければなりません。市の呼び掛けに応じて小樽商工会議所と小樽観光協会が主体となり、建築や文化財の専門家、町づくり団体、小樽市、北海製罐関係者などが参加して、21年1月に立ち上げられたのが「第3倉庫活用ミーティング」。白鳥さんが参加を決めたのは、周辺の事業者と「KITAUNGA PROJECT」を立ち上げたり、運河に面した旧小樽倉庫で地域ブランド「小樽百貨UNGA←(プラス)」のプロデューサーを務めるなどの縁からだったそうです。
「座長の駒木定正さんは建築史家で、小樽運河保存運動に深くかかわり、数多くの歴史的建造物が残る小樽の魅力を誰よりも知っている方。ですが、残したほうが良いという意見に偏らずに幅広い意見を聞き取り、建物の価値や状態、地域の状況、活用上の法規制なども総合的に判断することを大切にされていました」