ジョブキタ流!北海道転職白書 【試用期間って何のため?】転職前に知っておきたい求人広告の読み方〜試用期間編

2023年8月18日 公開

試用期間と言うと、「もし試されて適性が無かったら解雇されてしまうのでは」「退職したくなったら勝手に辞めてよい」などと勘違いしている人もいるかもしれません。しかし試用期間と言っても、企業は簡単に解雇できませんし、反対に従業員は正式な手順を踏まずに退職することはできません。本記事では、試用期間の目的や待遇、試用期間中に退職したくなった場合の対応方法などについて解説しています。

試用期間とは?なぜ、設けられているの?

試用期間は、企業が人材を採用する際に、求める適性や能力を持っているかを見極めるために設置されている期間です。企業としても、書類や数回の面接だけで従業員の能力や力量をすべて見極められるわけではありません。試用期間の後は長期で働くことを前提としつつ、社員としての適性を見極める期間です。試用期間の長さは労働基準法などで明確に定義はされていません。とはいえ無期限ということはなく、一般的には1〜6カ月、長くても1年程度のケースが多いです。

試用期間という名前の響きから、企業の期待に沿えない場合は解雇されてしまうのではと心配する方がいますが、それは間違いです。試用期間といっても労働契約は成立しているので、解雇するためには客観的に見て合理的な理由が必要です。たとえば、遅刻・欠勤が多い、経歴や経験が面接時と異なる、企業が繰り返し指導したにも関わらず、一向に問題点が改善されないといったような場合が挙げられます。ただし、こういう場合は必ず解雇になるというわけではありません。

試用期間中の待遇は?

試用期間中と言っても労働契約は成立していますので、正社員と比べて待遇差は大きくありません。正社員と同様、雇用保険や健康保険などの各種社会保険には加入できますし、残業すれば残業代もきちんと支給されます。万一、試用期間中に限って社会保険に加入できなかったり、残業代が支払われなかったりする場合、まずは会社に相談しましょう。それでも解決しない場合は、行政への相談も検討する必要があります。

なお、試用期間中は本採用後と比べると給与については少ない場合があります。本採用後と比べて試用期間の給料が低い点については、あらかじめ就業規則や労働条件通知書に明記し、労働者が同意していれば違法ではありません。細かい条件は企業ごとに異なりますので、気になる方は書面で提示してもらいましょう。

試用期間中に退職したくなった場合はできるの?

憧れていた企業に試用期間として働いていたものの、「思っていた感じと違う」「社風が想像と違って自分に合わない」などと思うこともあるかもしれません。その場合、そのまま働き続けることもできますが、退職を選択することも可能です。とはいえ「明日退職します」という訳にはいきません。本採用後と同じく退職届などが必要ですし、労働基準法により退職予定日の2週間前に申し出をおこなう必要があります。

退職を伝えるべきタイミングについては、企業によって固有の定めがある場合も少なくないため、就業規則などを確認しておきましょう。なお、退職の意思は基本的には直属の上司に伝えます。企業が定める退職を伝えるタイミングを考慮することはもちろん、短期間だとしても、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

試用期間に関するありがちなトラブルと対処法まとめ

最後に、試用期間中に起こりがちなトラブルと対処法について見ていきましょう。

不当な理由で突然解雇通告される
「出勤率が低い」「勤務態度が悪い」「協調性が無い」といった理由で、解雇通告される場合があります。これらの理由は、仮に実際そうだったとしても、企業側から、まずは教育や指導をする必要があります。また、通常解雇については企業側から30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払わなければなりません。試用期間の場合も特例を除けば適用されますので、違反していないか確認しましょう。

最低賃金を下回る給料
原則として、試用期間中も各都道府県が定める最低賃金は適用されます。ただし労働局長の許可を得ている場合のみ、最長6カ月間、各都道府県の最低賃金よりも低い給与が例外的に認められます。とはいえ、求人票や労働条件通知書にその旨を記載し労働者が同意する必要がありますし、6カ月という期限や、最低賃金額から20%以内の減額幅とする制限もあります。もしも最低賃金を下回っていた場合は、労働条件通知書の内容を確認してみましょう。

試用期間終了後の本採用を拒否された
基本的には、試用期間が終わった後は本採用が前提です。しかし、試用期間が終了するとともに本採用が拒否される場合も考えられます。本採用拒否は、法律的には労働契約の解除=解雇であるため、正当な理由が必要です。

客観的に見て合意できる理由が無いと、試用期間終了後の本採用拒否は認められない点を理解しておきましょう。

まとめ

試用期間は企業と労働者の双方が相性を見極める大切な期間です。自分にとっても企業の選択が間違っていないかどうかを確認しましょう。また、試用期間と言っても労働契約は結んでいるため、さまざまな権利が企業と労働者双方にあります。勝手に辞めたり、理由もなく解雇されたりすることは無いということを認識しておきましょう。

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