苦境を乗り越えて生まれた、紙で作る立体模型 やまつみ【合同会社やまつみ工房】
2026年3月30日 公開

小学生時代の
自由研究が原点

やまつみ工房
渡邉啓広さん・真美さん
「夏休みの自由研究で、発泡スチロールを使って当時住んでいた南区・藤野の辺りの立体模型を作ったんです。それが先生たちからすごく褒められて『学校に寄付してほしい』と頼まれた経験がずっと心に残っていたんですね」
高校卒業後の渡邉さんは札幌市内の印刷会社に就職。10年ほど働いた後に独立し、約15年にわたりデザインや印刷の仕事を手掛けてきました。しかし、やがて家庭用プリンターやパソコン、インターネットの普及などにより、印刷業界そのものが不況の時代へと突入していきます。
「既存の印刷に縛られることなく、これまでの技術や経験で面白い商品を作れないか…考えた時に思い出したのが、小学生の時の自由研究でした。初めは白地図の等高線を自分の手でカッターで切る作業から始まりましたが、誰でも気軽に作れるようシール紙を活用するなど、工夫を凝らすようになったんです」
こうした試行錯誤を経て2009年、販売を開始した「やまつみ」。しかし当初の売れ行きは「月に1〜2個売れたら良い程度」と、低調な滑り出しだったそうです。
苦難の日々から
芸能人の紹介を機にヒット!
「付録付き雑誌として有名なデアゴスティーニ社から『離島特集のノベルティとして、八丈島の立体模型を作ってほしい』という依頼が舞い込みました。その数というのが、なんと6000個です。自宅の一部を改装した小さな工房ですから、納期に間に合うのか不安でいっぱいでしたが、これほどのチャンスは無いと思い、引き受けることにしました。昼間は別な仕事をして、夜に帰ってきたら機械をフル稼働して、子育て中だった妻も巻き込んで…と、寝食を削る生活を3カ月ほど繰り返した末、なんとか納品に至りました」
更に追い風となったのが、あるテレビ番組での紹介です。
「タレントの所ジョージさんが、あるテレビ番組で『やまつみ』をご紹介してくれてから注文が殺到、それ以来さまざまな番組で取り上げてもらえる機会が増えていきました。家計は本当に苦しく、もう駄目かも…というところまで来ていましたが、ようやく生活できるようになりました。営業活動が苦手な僕に代わり宣伝してくれた、所ジョージさんのお陰です(笑)」
キャラクターや特産品など
全国の自治体PRにも
「市町村が集まるイベントで、たまたま八雲町の隣のブースだったむかわ町の方が気に入ってくれて、恐竜の模型を作ることになり、続けて函館市の取引先から国宝の『中空土偶』を作りたいとご相談があり…と、次々とご縁がつながっていきました。さまざまな地域に貢献できることもうれしく感じています」
最近は高校生になった娘さんが3Dモデリングを担当してくれるようになり、既存の図面や立体物が無い場合でも製作ができるようになったとか。今では島を題材にした「しまつみ」、湖の「湖つみ」、愛らしい動物の「北海道アニマルシリーズ」、更には海底地形から街並みなど、さまざまな商品展開へと発展しています。
「どんな商品でも、モットーはとにかく『楽しんで作ること』です。実はこの商品を作るようになってから、僕自身も登山を始めたり、見知らぬまちに行ったり、縄文文化に興味を持ったり…と、次々と世界が広がっています。お客様にとっても『やまつみ』が新たな世界が広がるきっかけになると、とてもうれしく思います
ここがこだわり! 開発のポイント
合同会社やまつみ工房
https://yamatumi.jp/
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北海道発!商品誕生エピソード
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