北海道ビジネスニュース 創成川イーストエリアに誕生 「実験施設 ZOKZOK」 札幌から新たな価値創造を。

2026年3月23日 公開

2025年の夏にオープンした「実験施設 ZOKZOK」は、4階建てのビルを一棟丸ごと改装し、さまざまなアートやカルチャーとまちとをつなぐ「実験場」として作られた空間。アーティストたちが活動拠点とするだけでなく、ワークショップや語らいの場としても機能し、交流を通じた新たな価値を作り出すのが狙いです。この仕掛け人であり、自らもパブリックアーティストである渡辺元佳(もとか)さんにお話を伺いました。
1階が茂呂さんによる〈縄文文化交流会館〉2階が渡辺さんの〈クリエイティブラボ〉3階が石岡さんによる〈ファッションスタジオ〉4階が平原さんによる〈フィジカルアトリエ CONTEⅢ〉と、4人のアーティストそれぞれの活動拠点も兼ねている。

北海道ゆかりのアーティスト4人で設立

打ちっ放しのコンクリートに謎めいたロゴマーク。外から見ると一体何の場所なのか分からない空間が「ZOKZOK」です。階段を上がっていくと、巨大なアートに包まれた部屋やアトリエが次々と視界に飛び込んできます。
運営をしているのは「コアアーティスト」と呼ばれる4人。仕掛け人であるパブリックアーティストの渡辺元佳さん(伊達市出身)をはじめ、自ら制作した土器の太鼓「縄文太鼓」の演奏家である茂呂剛伸さん(江別市出身)、レディー・ガガら国内外の著名アーティストに衣装や私服として購入された実績を持つファッションデザイナーの石岡美久さん(東京都出身、札幌市在住)、東京五輪の開閉会式で振り付けを手掛けた振り付け家の平原慎太郎さん(小樽市出身)と、いずれも北海道にゆかりのある方が中心です。
「以前から交友のあった茂呂さんと僕とで、このビルを使って何かできないかと構想したのがそもそものきっかけです。長らく活動拠点を東京としてきましたが、自分たちのルーツが何であるかを探った時に、やはり生まれ育った北海道のことは文脈から外せないし、何よりも恩返しがしたい…そんな思いから、ジャンルの異なる4人で面白いことをやってみようとスタートしました」

未成熟だからこそ新たなシーンを生み出せる

アートやカルチャーを語る上では東京に比べ「物足りない」と言われがちな北海道。けれど渡辺さんは、この場所に確かな可能性を感じていると言います。
「札幌は東京の文化を追ってきた側面がありますが、百年、千年と歴史がある本州の都市や、人口が数倍に及ぶ東京を目指しても、同じシーンが成り立たないのは当たり前です。一方で、近年はアイヌや縄文文化が改めて注目されるなど、時間の経過と共に“北海道らしさ”も輪郭を帯びてきました。短い歴史の中で独自の現代アートを発展させたアメリカのように、ここにしかない価値を生み出せる可能性があると感じているんです」
更に、北海道ならではの“自由さ”も大きな魅力だと話します。
「東京のアーティストやクリエイターは、細分化されたジャンルや資本の枠組みに縛られているように見えることがあります。たとえば絵画を中心に活動する人が、本当は彫刻にも挑戦したいのに、色々なしがらみの関係で踏み出せない、といったケースもあり、アートにとって自由な環境とは言い切れません。その点、さまざまなルーツを持つ人が集まる北海道は、元々文化の融合に寛容な土地ですし、強いしがらみに縛られにくい。アーティストやクリエイターの自由な発想と、まちの人たちが交わることで、新しいシーンの最前線になれる、そんな手応えを感じたんです」

まちから飛び出し10年先に成果を託したい

「ZOKZOK」が位置する創成川イーストエリアは、古くから地域に根付いている企業や、二条市場に代表される観光スポット、クリエイターの事務所やギャラリーが点在する地域。「カオスだからこそ面白いものが生まれる、NYのSOHOやチェルシーのような新しい文化の生まれるエリアに育つといいなと思います」と渡辺さん。実際、開業から約半年で地元クリエイターはもちろん、企業や地域、団体などさまざまな人たちとの化学反応も生まれています。
地域の外へと飛び出した取り組みも実践中。その代表例が、大和ハウス プレミストドーム(旧札幌ドーム)との連携プロジェクトで、「2026さっぽろ雪まつり」期間中にドーム展望台で渡辺さん作の全長9メートルの巨大なネコのアート作品を展示しました。
「施設に縛られず、次々とまちに繰り出していくのも我々のやりたいことです。既に多くのアーティストやクリエイターの仲間も巻き込み、美大予備校・札幌武蔵野美術学院の子ども向け教室『キタコローレ』とコラボしたアートプログラムなど、大学生との交流会や、中高生の学習支援など多くの構想が動き始めています。他の都市から人を呼び込むだけでなく『こんな人が札幌にいたんだ!』という発見にもつながるでしょう」
縦横無尽に活動を広げながらも、「ZOKZOK」が取り組むのはあくまで「実験」だと強調する渡辺さん。活動を10年間限定としたのも、実験結果を次世代へ託したいという思いがあるのだそうです。
「だからこそ10年間はとにかく面白いことをやり続けるつもりです。作品になりきらないもの、中には『これ失敗じゃない?』なんて瞬間も目撃するかもしれませんが、それも含めて皆様に面白いと思ってもらえるとうれしいです。ZOKZOKではさまざまな企業とのアートの視点を生かした共創や、ドームとの官民連携プログラムへの参画を受け付けています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください」

実験施設 ZOKZOK

アーティストやクリエイターが集い、アート、ビジネス、教育、地域コミュニティなどが交差することで、新しい価値創造を目指す文化実験の場。アートやクリエイティブに関するイベントやワークショップを開催中。イベント時のみのオープンのため、最新情報はWebやSNSでご確認ください。
札幌市中央区大通東7丁目18-1
https://zokzok.art/
Instagram/@zokzok.art
https://zokzok.art/

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