北海道でSDGsの目標達成に貢献する企業・団体 北海道でSDGsの目標達成に貢献する【上川大雪酒造】(上川町)

2021年7月12日 公開

明治時代には200軒を越えていたと言われる北海道の酒蔵も、一時はその数を11にまで減らしました。2016年、日本酒の酒蔵としては約20年ぶりに北海道に誕生し、今、全国から注目されているのが、上川町にある上川大雪酒造です。「6次産業化地方創生ビジネス」を掲げ、持続可能な地域づくりに取り組む代表取締役社長の塚原敏夫さんを訪ねました。

酒造りから見えた地域振興の新しい形

酒造りには人を動かす力がある。

上川大雪酒造は伝統産業である酒造りに尽力する一方、地域創生にも取り組んでいます。
「日本の多くの伝統産業は、社会の利便性が高まるにつれて、効率化の名のもとに集約されていきました。『まちは小さいが、ウチにはこれがある』と自慢できる田舎も、残念ながら少なくなりました。ところがSociety5.0でインターネットが普及すると、その流れを巻き戻すように地域独自のクラフト品などが注目が集めるようになりました。最近の例ではクラフトジンやクラフトウィスキーが話題です。アメリカに目を転じればクラフトビール業界が急成長を遂げ、各地で生み出された雇用は7万人とも言われています。加えて各地のブルワリーは街のシンボルとして市民に愛され、町おこしの中心的な役割を担っています」
同様の気運が、上川町でも高まったと聞きました。
「酒蔵を作って一番驚いたのが、我々以上に地元の皆さんが盛り上がってくれたことでした。役場の方、お酒が飲めない方までもボランティアで酒蔵を手伝ってくれて、酒造りにはこれほど人を動かす力があるのかと感じました。私はこれまで長く金融業界に身を置いていましたが、自分が手がけたビジネスでここまで感動を与えてもらったことはありません。この出来事をきっかけに、上川大雪酒造は地域振興のために存在させるべきだと強く誓いました。上川町とその周辺地域でしか購入できない地元還元酒「神川」を造ったのもその一環です。最近では酒蔵見学ツアーが企画され、地域の方々が主導する様々なイベントが催されています」

産学官連携で持続可能な社会の実現へ。

同社はこうした酒造りに加え、人材育成にも注力されていると聞きました。
「アメリカのクラフトビールの例でも、大学との産学連携で技術研究を行い、若き醸造家を育成したことが重要なポイントでした。上川町で創業した翌年に『十勝の帯広畜産大学に酒蔵を作っては』という話を頂き、北海道の酒造りの産学連携の拠点にしたいという思いから、ここに2番目の蔵を作ろうと決意しました。総杜氏の川端慎治は同大学の客員教授に就任し、醸造学の講義をスタートさせています。
今年の春からは私の母校である小樽商科大学と、人材育成や地域振興への寄与などを目的とした包括連携協定を締結。特認教授に就任し、「上川大雪酒造」を切り口にした特別講義を始めました。地域経済や経営、起業、そしてマーケティングやブランディングなどについて、学生が実践的に学べる機会を創出していきます」
その一方、マスメディアに頼らない情報発信も積極的。十勝「碧雲蔵」立ち上げ時のクラウドファンディングでは全国各地から熱のこもった応援が届いたといいます。
「日本酒ジャンルで国内最高記録を樹立し、新しいプラットフォームを活用した情報発信の威力を実感しました。Society5.0は追い風です。当社のような地方の小さな会社でも地元の皆さんや行政を巻き込み、産学連携で人材を育むことにより、持続可能な社会づくりに貢献できるのではと感じています」
上川大雪酒造 緑丘蔵
北海道上川郡上川町旭町25番地1
TEL.01658-7-7380
https://kamikawa-taisetsu.co.jp/
上川大雪酒造 碧雲蔵
北海道帯広市稲田町西二線15番地1
TEL.0155-67-5901
https://tokachi-taisetsu.co.jp/

北海道でSDGsの目標達成に貢献する企業・団体

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