北海道でSDGsの目標達成に貢献する【日本理化学工業株式会社】(美唄市)
2025年8月4日 公開
人に、地球に、社会に優しい「チョーク」。
日本理化学工業の美唄工場は、昭和42年(1967年)開設。当時美唄市では「障がい福祉都市」を掲げて障がい者雇用を軸とした企業誘致に取り組み、美唄市長から直々に請われ、同社は進出を決めました。
「当社が初めて障がい者(知的障害)を雇用したのは昭和34年(1959年)のこと。本社(当時東京)の近隣にあった養護学校の先生に頼まれ、生徒さんの雇用を受け入れたのがきっかけです。
初めはなかなか作業が覚えられず、失敗も多く、受け入れを断念することも考えました。しかし、言葉の説明では伝わらなくても、色で分けたり、砂時計を使ったり、視覚的に認知できれば、決められた手順通りに作業をこなせることがわかり、個々の理解力に応じた「やり方」を工夫して、戦力化を図っていったんです」
例えば原料の重さを測る時には、それぞれの原料に見合う色付きの重り(赤=30g、青=100g、黄=500gなど)を作り「色の付いた重りと釣り合う量を乗せる」というやり方を考案。計器の数字が読めなくても、正確に計量できるようにしました。
「当時専務だった大山泰弘(後の会長)は、なぜ彼らは、雨の日も風の日も休むことなく遠くから通ってくるのかと疑問に思い、寺の住職に尋ねたエピソードがあります。そこで住職は『人間には、働くことで得られる4つの幸せがあり、それは、愛されること、褒められること、必要とされること、役に立つことだ』と話したそう。人が働く本当の理由はお金ではないと気づいた大山は、以来、障がい者が“幸せ”を感じて働ける職場づくりに力を注ぐようになったといいます」
「当社が初めて障がい者(知的障害)を雇用したのは昭和34年(1959年)のこと。本社(当時東京)の近隣にあった養護学校の先生に頼まれ、生徒さんの雇用を受け入れたのがきっかけです。
初めはなかなか作業が覚えられず、失敗も多く、受け入れを断念することも考えました。しかし、言葉の説明では伝わらなくても、色で分けたり、砂時計を使ったり、視覚的に認知できれば、決められた手順通りに作業をこなせることがわかり、個々の理解力に応じた「やり方」を工夫して、戦力化を図っていったんです」
例えば原料の重さを測る時には、それぞれの原料に見合う色付きの重り(赤=30g、青=100g、黄=500gなど)を作り「色の付いた重りと釣り合う量を乗せる」というやり方を考案。計器の数字が読めなくても、正確に計量できるようにしました。
「当時専務だった大山泰弘(後の会長)は、なぜ彼らは、雨の日も風の日も休むことなく遠くから通ってくるのかと疑問に思い、寺の住職に尋ねたエピソードがあります。そこで住職は『人間には、働くことで得られる4つの幸せがあり、それは、愛されること、褒められること、必要とされること、役に立つことだ』と話したそう。人が働く本当の理由はお金ではないと気づいた大山は、以来、障がい者が“幸せ”を感じて働ける職場づくりに力を注ぐようになったといいます」
品質にこだわり、働く幸せを追求する。
2023年8月に放映された24時間テレビのスペシャルドラマ「虹色のチョーク」のモデルになり、存在が一気に知られた日本理化学工業。ドラマでも紹介されたガラスにも描けるチョーク「キットパス」は一時、生産が追いつかないほどの人気になりました。
「番組を通じ、工場で働く従業員たちの真剣な姿を知ってもらえたのは非常に嬉しいことです。ただ一方で、私たちは、あくまで“品質”で評価されるものづくりを目指しています。チョークは滑らかな書き味と、全ての人にやさしい色づかいにこだわった80年を超えるロングセラー商品。原料には年間20万トンもの廃棄が問題になっているホタテ貝殻を使用し、環境負荷も低減しています。キットパスも小さな子供が誤って口に入れても良いよう、安全なライスワックスを主原料に。お風呂でも安心して使えるように開発した「キットパスフォーバス」は水に浮く工夫なども取り入れています」
“障がい者が作っている”というだけで長く応援されるのは難しい。良い商品を作ってビジネスとして自立することが大切だと西川さんは強調します。
ちなみに日本理化学工業で働く従業員の賃金は最低賃金を下回ることはなく、賃金に対する国からの助成や補助も受けていないとのこと。近年はペットボトルキャップなどをリサイクルしたプラスチック製品の製造販売やホタテ貝殻をプラスチックに配合する事業を柱とすることを目指しているそう。
「私たちは“良い会社”ではなく“役に立つ会社”でありたいと、事業を行ってきました。誰かのためにすることは、必ず自分に返ってきます。これからも『働く幸せ』を追求しながら、世の中に貢献するものづくりに取り組んでいきたいと思っています」
「番組を通じ、工場で働く従業員たちの真剣な姿を知ってもらえたのは非常に嬉しいことです。ただ一方で、私たちは、あくまで“品質”で評価されるものづくりを目指しています。チョークは滑らかな書き味と、全ての人にやさしい色づかいにこだわった80年を超えるロングセラー商品。原料には年間20万トンもの廃棄が問題になっているホタテ貝殻を使用し、環境負荷も低減しています。キットパスも小さな子供が誤って口に入れても良いよう、安全なライスワックスを主原料に。お風呂でも安心して使えるように開発した「キットパスフォーバス」は水に浮く工夫なども取り入れています」
“障がい者が作っている”というだけで長く応援されるのは難しい。良い商品を作ってビジネスとして自立することが大切だと西川さんは強調します。
ちなみに日本理化学工業で働く従業員の賃金は最低賃金を下回ることはなく、賃金に対する国からの助成や補助も受けていないとのこと。近年はペットボトルキャップなどをリサイクルしたプラスチック製品の製造販売やホタテ貝殻をプラスチックに配合する事業を柱とすることを目指しているそう。
「私たちは“良い会社”ではなく“役に立つ会社”でありたいと、事業を行ってきました。誰かのためにすることは、必ず自分に返ってきます。これからも『働く幸せ』を追求しながら、世の中に貢献するものづくりに取り組んでいきたいと思っています」
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北海道でSDGsの目標達成に貢献する企業・団体
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