西嶋さんは札幌市のご出身。父の影響から小学生のころにはプログラミングを始めるなど、当時としてはいち早くコンピュータに触れ、ITエンジニアの素地を作っていった。
「1990年代の後半には札幌のITベンチャー企業でアルバイトを始めました。当時はサッポロバレーといわれるほど、このまちに多くのIT企業が集まっていた時代です。その後、何社かIT企業を渡り歩いた後、リーマンショックの波が押し寄せ、なかなか働き口が見つからなかったこともあって自ら起業する道を選びました」
西嶋さんが株式会社インプルを立ち上げたのは2011年6月。当初は法人のシステム開発を事業の柱に据えていた。以前の職場の縁から顧客はすでに確保していたため、滑り出しに苦労することはなく、5人、10人と社員の数が増えていったという。
「当時は私自身もエンジニアとして手を動かし、開発現場の最前線で仕事に取り組んでいました。一方で会社の規模をなかなか大きくすることができず、経営方針に悩んでいたことも事実です。転機となったのは、2018年に現・取締役の三浦が入社したこと。彼のサポートもあって、経営者としての役割を大きくシフトすることにしました」
西嶋さんは、組織の横断的なマネジメント、顧客とのリレーション構築などに注力。さらに、ビジネスの方針も打ち立てました。
「IT業界でよく使われる技術を用い、一般的な開発を担っても『数ある会社の一つ』にすぎません。私は他社がなかなか扱えない新しい技術を武器に、業界シェアが小さくても成長が見込まれる分野に絞って取り組もうと考えました。それが弊社の得意とするスマホアプリやフロントエンド(ユーザーの目に触れるWebサイトやWebアプリケーション)の開発です」