テクノロジーでより良い未来を。札幌に再び「バレー」を。【株式会社インプル】
2023年1月16日 公開
ニッチな分野に絞り、高い技術と価値を提供。
「1990年代の後半には札幌のITベンチャー企業でアルバイトを始めました。当時はサッポロバレーといわれるほど、このまちに多くのIT企業が集まっていた時代です。その後、何社かIT企業を渡り歩いた後、リーマンショックの波が押し寄せ、なかなか働き口が見つからなかったこともあって自ら起業する道を選びました」
西嶋さんが株式会社インプルを立ち上げたのは2011年6月。当初は法人のシステム開発を事業の柱に据えていた。以前の職場の縁から顧客はすでに確保していたため、滑り出しに苦労することはなく、5人、10人と社員の数が増えていったという。
「当時は私自身もエンジニアとして手を動かし、開発現場の最前線で仕事に取り組んでいました。一方で会社の規模をなかなか大きくすることができず、経営方針に悩んでいたことも事実です。転機となったのは、2018年に現・取締役の三浦が入社したこと。彼のサポートもあって、経営者としての役割を大きくシフトすることにしました」
西嶋さんは、組織の横断的なマネジメント、顧客とのリレーション構築などに注力。さらに、ビジネスの方針も打ち立てました。
「IT業界でよく使われる技術を用い、一般的な開発を担っても『数ある会社の一つ』にすぎません。私は他社がなかなか扱えない新しい技術を武器に、業界シェアが小さくても成長が見込まれる分野に絞って取り組もうと考えました。それが弊社の得意とするスマホアプリやフロントエンド(ユーザーの目に触れるWebサイトやWebアプリケーション)の開発です」
コロナ禍でダメージを受けた地元事業者を支援するために。
「私自身、札幌に生まれ育ち、このまちのIT企業にお世話になりました。会社は社会の公器という側面もあるため、コロナ禍によってダメージを受けたリアル店舗を持つ地元事業者をテクノロジーで支援できないかと考えるようになりました」
そんな思いから2020年にはフードデリバリーのシステムを開発し、翌年には自社プロダクト「OneStack(ワンスタック)」をリリース。リーズナブルな月額料金で会員証機能やポイントカード、クーポン、顧客情報の管理などができるスマホアプリだ。
「この商品はノーコードといわれる新しい技術を使ったことで、コストを抑えたスピーディーな開発が可能です。なおかつ、お客様ご自身で簡単なレイアウト変更やデータ登録ができるため、わざわざ弊社にご連絡をいただかずとも直感的に使いこなすことができます。むしろ、私たちにお問い合わせがこないことこそ、このアプリが成功した証になります」
大手に近い規定や制度と、大手とは異なる自由な社風と。
「弊社は近い将来にIPO(新規上場)を目指して準備しております。そのためコンプライアンスや会社組織の形態など上場会社に近い体制を整えている一方、社風は自由で和気あいあいとしています。こうした点も優秀で成長意欲が高いエンジニアに受け入れられているのではないでしょうか」
現在、西嶋さんはIPOに向けた社外のステークホルダーとのリレーション構築や広報活動といった仕事に奔走中。今後、どのような未来を描いているのだろう。
「ことITに関していえば、日本は後進国といわざるを得ません。テクノロジーの導入によって社会や暮らしをより便利にすることが私たちのミッションです。加えて、札幌にはユニークなIT企業も多いため、もう一度『サッポロバレー』と呼ばれるようなITベンチャーの集積地にすべく、地元の経営者と手を取り合って、盛り上げていきたいと考えております。その中で、今年はご縁があって、北海道モバイルコンテンツ・ビジネス協議会の会長にも就任しており、同会の活動も積極的に行いたいと考えております」
株式会社インプル
グローバルビジネスに挑戦するJ-Startup HOKKAIDO企業
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