
紙への印刷ではなく、立体物を自在に造り出す――それが3Dプリンタです。今、この技術は建設業界で急速に広がっています。
唯一の国産メーカーPolyuse社の建設用3Dプリンタは、能登半島地震の復興事業でも採用されました。災害現場では従来工法が難しい箇所や早期復旧が求められる箇所が多く、納期短縮と条件クリアを可能にする「もう一つの選択肢」として評価されています。
人手不足が深刻な中、3Dプリンタ施工は「当たり前」になる未来が近づいています。こうした中、旭川・札幌を拠点に建設業を展開する高田グループは、「アーリーアダプターとして社会実装を進めていく」――そう語る高田専務に、業界の未来について聞きました。
インフラの老朽化が暮らしの危機に直結!3Dプリンタの活用は建設業の「常識」に。
取締役専務 高田彬利
近年、道路や橋などの社会インフラの老朽化が進み、補修・改修を担う人材不足が深刻化しています。さらに日本は地震や台風など自然災害が多く、迅速な復旧が求められる中で、建設業界はこうした難題に挑み続けています。
当社は、こうした課題を「技術」で解決することこそが建設業の魅力を発信する道だと考え、最新技術である建設用3Dプリンタに着目しました。
建設用3Dプリンタの技術はこの5年の間に産学官連携のもと、本分野では世界をリードするほどまでに急速に成長しています。
その能力と効果から全国の建設現場、そして能登半島地震の復興事業(災害現場)でも採用されるまでに至り、現在進行形で活躍中です。
当社はこの技術を、土木資材の製造(生コンを含む)、公共工事、道路維持除雪、運送といった既存事業の中心に据えることで、従来の枠を超えた化学反応を起こし、社会インフラ維持の新しい選択肢を創出したいと考えています。
国土交通省も現場施工に有用と評価し、標準化に向けて具体的に動きだしており、これが“常識”になる日はそう遠くありません。
工法に革新を――“こんな工夫をしたかった”を実現。3Dプリンタで発想をそのままカタチに。
建設用3Dプリンタの技術は、従来工法である「型枠」や「プレキャストコンクリート」に代わり、自在な設計を可能とする能力を活かし、残存型枠やその他の製品を現場の施工環境、工期、地形、機能向上などの要求条件に合わせて印刷し、現場に適用することができます。これにより、工程や作業手順を簡素化し、省力化、工期の大幅な短縮、安全性の向上を実現します。さらに、従来工法では現場環境の制約や制限から施工不可能だった工事も、施工可能にします。
従来のコンクリート工事では、柔らかいコンクリートを型枠に流し込み、数日間保持して固める必要があり、型枠の製作・組立・解体には高度な技術を持つ型枠大工が不可欠でした。
しかし、公共・民間問わず、規模が小さすぎるため人手不足で請けられない、あるいは着手まで時間がかかる案件が多数存在します。3Dプリンタは、こうした供給不足を補う「もう一つの選択肢」として、大きな役割を果たします。
さらに、3Dプリンタなら円形や曲線を含む複雑な構造物も容易に造形可能です。従来は高度な技術と時間を要した曲線型枠も、設計データに従って正確に施工でき、工事のアイデアや設計の自由度を飛躍的に高めます。
建設従事者の「価値」は右肩上がり!新技術の登場で現場の一体感も強まっています。
当社が3Dプリンタ導入を決めたのは、単なるはやりではなく、イノベーター理論の「アーリーアダプター」として全国の仲間と研究・社会実装を進め、この技術を早期に標準化することが業界のアップデートにつながると確信しているからです。それは日本の社会基盤の構築と維持を担う重要な挑戦です。
新技術を試したい好奇心もあります。若手もベテランも一緒に3Dプリンタを囲み、「こんな工事に使える」「あんな現場で役立つ」と意見を交わす――建設業の本来の面白さを再発見し、革新できる機会になると考えています。
建設業界の魅力は急上昇中!
作業単価は上昇し、年収も右肩上がり。全業種平均約450万円に対し、建設業界は500万円超。さらに600万〜700万円、それ以上も珍しくありません。
ICT施工やAIテクノロジーが次々導入され、建設業は「肉体労働と技術力・アイディアの融合」で進化してきましたが、今やAI、3Dプリンタ、ドローン、LiDAR地形スキャニング、スマートフォン革新が業界にかつてない変化をもたらしています。
北海道を舞台に、日本の社会基盤の構築と維持を担うダイナミックな仕事を一緒にやりましょう!