近年、ガソリンスタンドは大きな転換期を迎えています。セルフ化、電気自動車の普及、人手不足…。多くのフルサービススタンドが姿を消していく中、北海アウル石油は62年間変わらぬスタイルを貫いています。
一体なぜ、フルサービスにこだわるのか。それは、高齢化が進む地域において、私たちの存在が「安心」そのものだからです。
給油の仕方がわからないお年寄り、車の異変に気づけない女性ドライバー、海風で錆びやすい車のメンテナンスに悩む地元の方々…。
そんな一人ひとりに寄り添い「ライトが切れてるよ」「タイヤの空気圧、見ておきますね」という何気ない声かけで事故を防ぎ、安全を守る。
地域のセーフティネットとして機能する、それが北海アウル石油の真の姿です。
「働く」なら、地域に必要とされる仕事がしたい。
「働く」なら、「ありがとう」が聞こえる職場で成長したい。
そんな思いを胸に働く社員たちの物語をぜひ、ご覧ください。
【何気ない仕事ですが、やりがいと働きやすさを実感しています】宮下 星流さん(22歳・入社4年目)
アウル石油のスタンドはもともと家族がよく利用していたという宮下さん。同社には職場見学に訪れた際、他社にはない雰囲気の良さを感じて入社を決めたそうです。「バイト経験もないのでスタンドでの仕事はここが初めてでした。ですが働いてみるとイメージ通り。ガソリンを入れて、拭き掃除をして…と、さほど難しい内容ではないのですぐに慣れることができました」
北斗市は海沿いのまちである地域柄、潮風で車が錆びやすく、トラブルも多いのだそう。フルサービスならではの細かな気づかいには、故障や事故を未然に防ぐ役割もあります。
「ご高齢の方も多いので故障に気付かないケースもあります。あとは日常的な窓を拭く、ゴミを捨てる…ごく当たり前のことなんですけど、それだけで『ありがとう』と感謝されることが多いのも、この仕事のやりがいです」
先輩たちの「まるで部活の先輩のよう」な親しみやすさも職場の良いところ。
「仕事は丁寧に教えてくれる一方で、日ごろは仲良くあだ名で呼び合う仲です。ここは職場の雰囲気も良いし、感謝もされるし、時々ボーッとしちゃうほど風景も綺麗。決して特別な仕事じゃないけど、ここで働いてて良かった…と実感しています」
【人を大切に育ててくれる環境で、自分の居場所を見つけました】
佐藤純明さん(29歳・入社10年目)
入社して10年、お客様に眩しい笑顔で接客する佐藤さん。後輩たちからは兄貴分として頼られているご様子ですが、過去には退職も考えたことがあったそうです。
「こう見えて、すっごく人と関わるのが苦手で…入社して1年も経たないうちに仕事が辛くなってしまったんです。でもたくさんの先輩や上司から『お前の力が必要だ』『続けて欲しい』と言葉をかけてもらって、真摯な様子に心を打たれて続けようと決意しました」
それから気付けば10年。苦手だった接客にもすっかり慣れたそうです。
「ここは常連さんが多いスタンドで、セルフが増える中でも『やっぱりアウルさんがいい』と言って頂けています。特にお年寄りは『セルフだと入れ方がわからない』という人も多いんです。だから頼りにされているんだと思います」
プライベートでは昨年に第一子の誕生、マイホームも購入したのだとか。
「ウチは同世代と比較して給与が高いし、毎年昇給もあります。やっぱり安定した収入があったことも続けられる理由だと思います。上の先輩なんて30年と働いてる方もいますからね。転職を繰り返す人も多い時代ですが、続けられるなら続けた方が後々自分のためになる。今ならそう思います」
【社員を大切にする経営が、お客様への安心につながります】
代表取締役社長/武田真さん
北海アウル石油の二代目として、会社をけん引する武田さん。家業を継ぐにあたって意識したのは、働く環境の改善です。
「先代の頃は人が多かったのでどんどん働かせてきました。だけど今は時代が変わりましたからね。できるだけ休みを多く取らせるようにもしてますし、働き手の労力が少しでも軽くなるよう、いい設備があればすぐ入れるようにしています」
給与水準もエリア随一。昨年には物価上昇を踏まえて、社員全員の給与を平均5%賃上げしたそうです。
「細かいことですが、誕生日にはケーキを贈ったり、飲み会は行き帰りのタクシー代なんかも含めて会社が全額負担してます。社員に還元できるところは還元して、長く長く勤めてもらう。それがお客様にとっても一番ですからね」
社員定着率の高さは、お客様からも「みんな顔なじみだから安心できる」と好評なのだそう。
「農家のお客さんから野菜を頂いたり、漁師の方から海藻やお魚を頂いたりするのは日常茶飯事。日頃のいい関係が築けている証ですね。だからこそ、採用では人柄を見て入れています。特別難しい仕事じゃないから、楽しくやってもらえればいいんです。先輩たちのようにね」