コテと呼ばれる道具を持ち、壁や床を塗り上げる左官職人。株式会社鈴木工業所は、創業100年を間近に控える札幌市の左官専門工事企業です。
こう聞くと、ザ・職人の世界をイメージするかもしれませんが、当社では入社後1年かけて左官専門の訓練校に通ってもらう他、現場でも「左官はやらないと面白くない」をモットーに新人さんにも積極的にコテを持ってもらっています。
「見て覚えろ」がなく、ミスは必ずリカバリーするスタンスが浸透したおかげで、20〜30代が半数以上に増えてきました。こうした若手が入社するきっかけの大半は「面白そうだから」です。
就活生の中にも、「壁を塗ってみたい」「コテを扱うのが面白そう」と思っている方がいると見込んで、半日程度の「壁塗りインターン」を開くこととしました。内容は左官の仕事を簡単に説明する座学と、壁塗り体験(休憩を挟んで2時間程度)というシンプルなもの。もちろん、エントリーが前提ではなく気軽に参加いただいてOKです。
実は、材料をコテに乗せるだけでも難しいのですが、だからこそ面白いと「沼る」社員が大半!インタビューから、その魅力を感じてください。
難しいからこそチャレンジしがいがあり、時間が経つのがあっという間!
◇小笠原 閃
前職は土木の施工管理です。除雪も行っている会社だったため、冬場は朝に出勤して帰るのが翌日の朝というパターンもザラ。転職が頭をよぎる中、左官の動画を見ているうちに面白そうに感じ、友人のお父さんが働く鈴木工業所を紹介してもらいました。
僕は転職組で訓練校の入学手続きが間に合わず、この4月から通う予定です。ただ、入社1日目から材料を練るだけでなく、補修材という塗りやすい素材で簡単な作業からやらせてもらえました。動画で見ると簡単そうに思えましたが、まず材料がコテに乗らず、塗れたとしても材料が剥がれるなど想像の100倍難しかったです(笑)。
ただ、先輩方はコツを言葉でも教えてくれますし、塗れないからといって理不尽に怒られることもありません。そもそもコテを持っている時間が本当に楽しく、今は塗れる壁が少しずつ増えていることに手応えを感じます。難しいからこそチャレンジしがいがあり、時間が経つのがあっという間です。
当社には20〜30代が多く、めちゃくちゃ雰囲気が良いのも魅力。前職では仕事が終わったらさっさと帰っていましたが、今は会社に戻ってから皆と話すのが友人といる以上に楽しく感じます。
ミリ単位の仕上げを突き詰めるのも面白み。まずは「塗るって楽しい!」を感じてください!
◇中田 弘大
8年ほど前、高校卒業後に鈴木工業所に就職しました。社長がたまたま同じ高校の出身で、担任の先生も一緒だったこともあり、「卒業生がいるよ」と紹介されたことに縁を感じたのがきっかけです。
最初は左官の訓練校で基礎を学びながら、現場では先輩から材料の作り方などをイチから教わりました。この1年で左官の「さ」を勉強できるのは大きいですし、今は僕の時代よりも早くコテを持たせてもらえるのも成長につながりやすいと思います。
当社では学校や工場、ショッピングモールの床や外壁を手がける仕事が多くを占めています。こうしたケースでは階段の幅をピッタリとそろえたり、建物のラインを形作ったりするために、ミリ単位の細やかな仕上げにこだわらなければなりません。例えば、僕らが手を抜くとお店の床に傾斜ができることもゼロではないため、「普通に歩ける」のは左官の技術のおかげともいえます。
入社当初より休日も増え、若い世代ものびのびと働ける環境に進化しました。僕は高校生が壁塗り体験にきた時の対応をすることがあります。就活生の皆さんにも、カタイ話は抜きにして、まずは「塗るって楽しい」を感じてもらいたいですね。
左官は人の手でなければ絶対に仕上げられない、ニーズのなくならない仕事です。
◇代表取締役社長/鈴木 卓一郎
当社は創業から100年近く、地場のお客様と古くからの信頼関係で結ばれています。加えて、「コテを使って仕上げ完成させる物は、全て左官工事である」のコンセプトにもとづき、塗床工事や防水工事、改修工事なども手がけることで経営は安定的です。
新卒さんには、会社の費用負担で左官専門の訓練校に通ってもらう他、授業のない日は壁を仕上げる前段階の簡単な仕事からすぐに手を動かしてもらうスタイル。当社の職人は技術が高いため、どの段階でミスしてもリカバリーがきくため、思い切って失敗できる環境です。
当社には20代が多く、同世代で和気あいあいと話せる良い雰囲気が根づいています。40〜50代の先輩も昔のベテランとは異なり、若者に寄り添って教える意識があるため、のびのびと働けるはず。私自身も「こうしたい」という意見はどんどん伝えてほしいといっています。実際、「道具の積替えが面倒だから社有車は固定にしたい」などのリクエストにもすぐ対応しました。
左官はカーブや複雑な形があるため、人の手じゃなければ絶対に仕上げられません。なくならないだけではなく、面白い仕事という点も魅力でしょう。