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株式会社 菊田食品

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老舗豆腐店がスイーツ作りに挑戦したワケとは?

プリンにシュークリーム、ドーナツにチーズケーキ…
菊田食品が営む「菊の家」には、色とりどりのスイーツが並んでいます。

一見するとパティシエの本格スイーツのようですが
実は全て、豆腐や豆乳でできているもの。

創業70年以上の老舗豆腐店が一体なぜ、スイーツ作りに励むのか。
その背景にある想いや、将来像について3代目の郷和樹さんにお話を伺いました。

「不幸な価格競争よりも、幸せな付加価値を」

「豆腐を巡る状況は決して良いとは言えません」と切り出す郷社長。
「とはいえ、それはコストを切り詰め、スーパーに安価で出回る商品を手掛ける従来型の会社のことです。価格競争は生産者や仕入れ業者を苦しめ、最終的には自社の首をも締めることにつながります」

菊田商品が長年追求してきたのは「付加価値」です。
2002年に手作りにこだわったブランド「とうふ家 菊の家」を立ち上げ、08年には生産者や製造業社と共に「江別大豆プロジェクト協議会」を発足。商品名に「江別の大豆で作った」と冠した商品を展開し、地域のPRにも尽力してきました。

「江別は小麦が有名ですが、作物や土を良好に保つために大豆も植えられていて、作付面積も年々増えています。当社は長年、江別で商いしてきたメーカーとして、この地域で豆腐づくりに関わる全ての人を幸せにし、その幸せをお客様に還元する義務があります」

郷社長の思いは着実にお客様に届き、新たなファンを獲得しています。例えば「江別の大豆で作った生揚げ」は、素材のおいしさが評判を呼び、今では業績をけん引するほどの商品へと成長しました。

「若手と共に世界進出をねらいたい」


同社の「付加価値」への追求は留まることを知りません。2021年にはスイーツブランド「菊の家スイーツ」をスタート。豆腐を使った焼き菓子のほか、豆乳を使ったプリンやアイスなどを開発してきました。

「大豆本来の味わいを残しつつ、賞味期限を伸ばせる商品として開発したのがスイーツです。結果、ヘルシー志向の高い女性や若年層のファンも新たに獲得し、冷凍できる利点を生かして香港や東南アジアの国々へマーケットを拡大することにも成功しました」

一方、足下である会社の働き方改革も積極的に進めています。
「豆腐づくりは個人の手作業と、チームワークが合致して初めて良い味が生まれます。ここ最近は今時の世代が働きやすいようにと、覚悟を決めて社内改革に取り組んできました。これからは残業時間の削減や有給日数の増加などにも取り組む予定です」

現在は海外進出をさらに拡大するべく、会社の理念や目標を社員たちと共有しているという郷さん。「江別の豆腐を世界へ。この夢に向け、共に歩んでくれる若手はぜひ当社に来てください」と真摯な目で語りました。

最後はベテラン豆腐職人のお2人にお話を伺います。

菊田食品が昔から変わらず大切にしていることは何ですか?
竹内和弘さん(入社歴35年):昔ながらの製法や、職人技を大切にしてくれる会社です。
泉田寿郎さん(入社歴17年):ブレずに「美味しい」を追求し続ける姿勢、常にいいものを作りたいという働き手の意識だと思います。

反対に「変わったこと」は?
竹内さん:大きな豆腐や揚げの生産量そのものは減った一方、他の商品ラインナップが大幅に増えましたね。世界進出にも驚きました。
泉田さん:僕もまさか自分がスイーツ作るなんて(笑)。商品開発の際はいろいろな部門から意見を集めたり、試行錯誤をしたりしています。

職場の雰囲気についても教えてください
竹内さん:昔ながらの厳しい雰囲気は無くなったよね。
泉田さん:いわゆる「職人さん」タイプはいなくなりましたね。3代目になってから社内の雰囲気がガラリと変わって、今は新人さんへの教え方もやさしくフレンドリーです。

仕事の面白さって?
竹内さん:大豆は季節や炊き方でまるで味が異なります。何十年やっても飽きませんね。
泉田さん:日々試行錯誤して、イイものをつくる。その面白さに尽きます。

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