「みんな来てくれてありがとう!」と、リラックスした様子で会場に登場した山口さん。まずは最新の映像作品「SAKANAQUARIUM アダプト ONLINE」の解説からトークをスタート。
同作は従来のライブと舞台、ミュージックビデオの要素をかけ合わせた斬新なアイデアの意欲作。山口さんはその制作の経緯について、「コロナ禍で立ち止まるのではなく、前に進むために新しい発明に挑んだ」と振り返ります。
「制作にあたり最も大きかったのはこれまで何度もサカナクションのクリエイティブに関わり、信頼を重ねてきた田中裕介監督の存在です。彼自身の作品として自由に作ってもらったことで、自らもワクワクしながら制作することができました」
この経験を元に自分が楽しむことについての意義をより深く実感したという山口さん。自身が活動に臨む姿勢について、食べていくための「ライスワーク」よりも、生きるための「ライフワーク」を大切にしていると述べます。
「若いころは『ライスワーク』に向け必死で走ってきました。でもある時、自分がやりたい方向に向かっていないことに気づいたんです。自分のやりたいことを優先した『ライフワーク』は作品を届ける楽しさを肌で感じ、さらなるクリエイティブを追求することができる。僕はミュージシャンとしての活動を『ライフワーク』と定義付けることで、誰よりも自分が楽しみ、活動できるようになりました」