北海道ビジネスニュース 北海道ビジネスニュース【株式会社ノースジニアス】

2021年8月2日 公開

SDGsとは国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。札幌を拠点にリサイクル事業や介護福祉事業、更にWeb制作など多彩な事業を展開しているノースジニアスグループでは、昨年8月よりこのSDGs活動を広く普及させる動画サイト「North SDGs Media(以下NSM)」の制作をスタートさせたとか。詳しいお話を伺いにグループの中枢的存在である株式会社ノースジニアスを訪ねました。

SDGs動画サイトの運営を通じて、企業間の支援や交流の輪を広げています。

(左から二人目)株式会社ノースジニアス代表の安藤圭祐さん、(左から順に)同社広報企画部の川崎玲奈さん、岡田義宏さん、定居あおいさん。

さまざまな企業や団体のSDGs活動を動画で紹介。

取材班を迎えてくれたのはノースジニアス広報企画部の方々。代表してお話を伺ったのは川崎玲奈さん。まずはNSMをスタートさせた経緯から。
「2年程前、弊社代表の安藤がSDGsのセミナーに参加したことがきっかけです。その後グループ企業にSDGsに関する事業活動を提案しましたが、いくら呼びかけや研修を行っても、社員たちの意識を変えるには至らず、対応策を模索する日々が続きました。何度かディスカッションを重ねる中で、『理解してもらうには本社機能であるノースジニアスが目に見える具体的な活動に取り組む必要がある』という結論に至り、さまざまな業種や職種で構成されているグループ企業の中枢というノースジニアスの強みを生かし、NSMの活動をスタートさせたんです」
SDGs活動というと、エコや環境保全に配慮して業務を改善するとか、無駄や破棄をなくす取り組みを始めるなど社内向けの活動から手掛けるのが一般的。あえて社外の活動を紹介しようと考えた理由は何でしょう。
「まず私たちがSDGsの実際を見聞きし、知識を蓄えることが必要だろうと考えました。また各企業のSDGsの様子やそこに寄せる思いを伝えることで、企業間に支援や交流などのパートナーシップの輪が広がり、より具体的にSDGsの達成に近づけるのではとも思いました」

撮影から編集まで、自分たちで一貫対応。

飲食店経営の傍ら、食育をテーマにした保育園と子ども食堂を新たに立ち上げる「株式会社office nanakamado.」伊藤代表への取材・撮影の様子。

同社のホームページからNSMに挙げられた動画を閲覧してみると、学用品の寄付や笹を使った製品作りの指導など国内外の子供の支援に取り組む保育園、フードロスの削減とその啓蒙を行う飲食企業、介護の仕事のやりがいを伝え2025年問題の解消を目標にする社会福祉法人など、SDGsに関するさまざまな取り組みがインタビューや画像などを通じて分かりやすく紹介されています。
「これまで取材させていただいた法人・個人の動画は25点ほど。ご覧の通り業界も活動内容も千差万別です」
取材先探しは社員や知人からの紹介がメインですが、時には企業サイドから取材を依頼されるケースもあるとか。そこから事前打ち合わせ、シナリオ作り、当日のMC、撮影から編集、更に動画サイトへのアップロードまで、制作運営のすべてを広報企画部が担当します。
「撮影は三脚で固定したスマホ、編集も社内のパソコンで、設備はすべて自前です。最初のころこそ緊張しましたが、回を重ねるにつれ各企業のSDGsの要点や活動に寄せる思いなどを少しずつ引き出せるようになりました」
取材はコンスタントに月2本ペース。どの取材も興味深い内容でしたが、ユニークなものでは毎日大量に出る『溶けたロウソクのロウ』の再利用に取り組む、お寺の住職の取材もあったとか。視点を広げればあらゆる仕事、あらゆる生活の場面にSDGsへと通じる道がある、そんなメッセージにも思えてきます。
「子ども食堂に取り組む方の温かな気持ちに触れて胸が熱くなったり、ジャパンSDGsアワードを受賞した九州の商店街のお話に強く共感することもあったり。SDGsに関する新たな知識を自分たちの財産として蓄積していけたことも、この取り組みの大きな収穫でした」

企業間にも、自社内にも、多彩な波及効果が広がって。

子ども食堂や学習支援の運営をしているNPOボラギャングとパートナーシップを締結。学習用タブレットのレンタルやイベントの運営サポートも行っている。

当初こそ少なかった閲覧数も口コミなどで認知が広がり、日に日にカウンターも上昇。更に動画を見た企業が子ども食堂運営費の寄付を申し出たり、出演したNPO法人や社会福祉法人にメディア取材が舞い込むなどの波及効果も見られるように。同社が当初に掲げた『企業間に支援や交流などのパートナーシップの輪を広げること』が、まさに現実となりつつあるのです。
「我々の活動を伝える広報室のSNSのフォロワーやリツイート数も着実に増えています。市民や学生たちにSDGsが定着し始めている証だと思いますね」
この広がりはノースジニアスグループ内にも。安藤代表にもお話を伺いました。
「NPO法人とパートナーシップを結ぶなどグループ全体としてのSDGs活動もスタートさせていますが、最も手応えを感じるのは社員の変化です。オフィス周辺のゴミ拾いやセーブザチルドレンの募金、啓蒙ポスターの掲示など、自分たちができるSDGs活動を自分たちで見つけ出し速やかに取り組み始めているんです」
義務や強要では定着しないSDGs。それを十二分に理解している代表だからこそ、社員一人ひとりの自発的な行動がとても頼もしいと笑顔を見せます。
「この先社員にどんな変化や影響が広がっていくのか、一番楽しみにしているのは私自身かもしれませんね」

株式会社ノースジニアス

リサイクル事業、介護福祉事業、Web制作など多彩な企業からなり100名の従業員を擁するノースジニアスグループの主軸企業。若い発想と行動力で挑むSDGs活動に注目が集まる。
北海道札幌市豊平区平岸3条5丁目4番22 平岸グランドビル新館5F
TEL.011-816-1031
https://www.northgenius.co.jp/

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