2019/11/25[mon] update

農林漁業の仕事人file【農業/大関輝男さん】

最新技術による省力化で、
人生にゆとりを届ける
新しい酪農の形を描きたい!

ノーサンファーム株式会社
代表取締役社長 大関輝男さん

酪農業の未来のために、
酪農にチャレンジ!

音更町のマチナカからクルマで約20分。高速道路の高架を抜けると、真新しい牛舎や事務所が見えてきました。ここは2018年に設立され、今年の5月から本格的に営農を始めたノーサンファーム株式会社。母体は、畜産飼料づくりをビジネスの柱に据える日本農産工業株式会社です。牧場を案内してくれたのは代表の大関輝男さん。
「畜産飼料の会社が酪農を始めるというと不思議に思われるかもしれませんが、もちろんれっきとした理由があります。酪農業界は労働時間が長く、休みが取りにくいというのが現状。加えて、高齢化や後継者不足も影を落としています。私たちが自ら酪農にチャレンジすることで、お客様でもある酪農家のみなさんの役立つことを見つけようと当ファームの開設に乗り出しました」
大関さんをはじめ、農場の立ち上げメンバーが着目したのは搾乳・哺乳ロボットといった機械。ここ最近は省力化の精度が飛躍的に高まっているため、労働時間の短縮や休める酪農を実現できる可能性が見えたといいます。
「最新技術による効率化やITによるデータの蓄積。これらを活用することで高齢の酪農家さんがラクに働くことができ、新規参入の若者にも魅力的に映る新しい酪農の姿を目指します」

搾乳に人手を割かない分、
時間に余裕が生まれて。

ノーサンファーム株式会社の牛舎は2018年に着工。翌年の5月下旬には乳牛を入れ、いよいよ営農のスタートを切りました。省力化に大きく貢献する目玉の設備は、やはり搾乳ロボットだといいます。
「牛に何度か搾乳の場所を教えてあげると、あとは生乳を搾りたくなったり、エサが欲しくなったりすると、人の手を介さずとも自分たちで搾乳機の前に行ってくれます。さらに耳に付けているICタグと搾乳ロボットが連動しているので、個体別に1日の搾乳回数を2回、3回と設定しておけば、過剰に搾ってしまう心配もありません。牛が好きな時に搾乳できるという点ではストレスも少ないはずです」
そればかりではなく、搾乳時には大まかな生乳の質や量、体重といった各種分析も可能。しばらく搾乳に来ていない牛もアラートされるため、体調不良やケガの予兆をいち早く見抜いて対処できるところもメリットです。
「他にも、汚れを落とすのがラクなウォーターベッドを取り入れたり、エサ寄せを自動化できる機械を導入したり、省力化を進めているところです。その分の時間を掃除や病気の予防にあてられる上、どんなエサを食べると乳量のパフォーマンスがどれくらい向上するのか分析する余裕も生まれます」
一方、分娩の苦労を読み間違えて一度に妊娠頭数を増やし過ぎるなど、酪農家にとっては初歩的なミスも数え切れないとか。けれど、「初心者だからこそ常識にとらわれず、アイデアの幅を広げたいと考えています」と大関さんは前向きです。

8時〜17時の勤務時間内に
仕事を終えられる手応えも。

現在の搾乳頭数はおよそ70頭。近々、育成舎も完成させ、種づけから仔牛の哺乳、搾乳できるまでの飼養、さらに母牛の体を休ませる乾乳といった一連の流れを手がける予定です。在籍しているスタッフは今のところ7名。
「勤務時間は8時〜17時ですが、正直、仔牛の分娩が夜にかかる時にはどうしても数時間の残業は避けられません。ただ、曜日固定で週に必ず2連休を取れるシフトを組んでいますし、夏と冬にはある程度まとまった休暇も楽しめます。労働時間の短縮と休める酪農の実現に向け、手応えを感じているところです。あと少しだけ人材が増えれば、より働きやすくなると思います」
今も反芻時間や給餌量はシステムで管理していますが、今後は牛の行動から病気や発情の傾向を解析できるデバイスの導入も視野に入れています。こうしたデータの蓄積によって牛ごとに合った飼料の開発や乳量の結果が向上する飼い方、さらには人手不足に悩む酪農家の働き方改革を提案するなど、設立時の目標にグッと近づけるというのです。
「とはいえ、私たちはあくまで酪農家。いくらご提案の幅が広がっても成績が悪くては飼料でお世話になっているお客様も耳を傾けてくれませんよね。今はまだ初心者かもしれませんが、乳量も乳質もトップを目指す意気込みです!」
牛のエサとなる牧草やとうもろこしは契約先から仕入れ、このトラクターで毎日混ぜて給餌しています。
仔牛は生後2週間くらいまでこのハッチの中で暮らします。その後は哺育ロボットを活用して成長させます。
牛が気ままなタイミングで搾乳ロボットのほうへ進んでいきます。成牛が暮らす牛舎内には2台を設置。
時間になると自動でエサとなる牧草を牛のそばに寄せて牛舎内を回る機械。人がスコップで寄せる手間を省きます。
搾乳ロボットなどから得たデータは牛舎内のPCで閲覧できます。正常な値かどうかをメーター型のアイコンで表示。
「乳量と乳質のバランスは徐々に改善中。体細胞(健康とされる指標)の値も地区のトップクラスをキープしています」

ノーサンファーム株式会社

日本農産工業株式会社を母体に、2018年に設立された新会社。酪農家として乳量や乳質の成績向上を求める一方、搾乳・哺乳ロボットをはじめとする設備を整えて省力化も追求。IT化も進めることでファームに蓄積されたデータを飼料づくりや飼育方法の形で酪農家に還元することも使命。
北海道河東郡音更町字長流枝7-32
TEL.0155-46-2222
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