2018/01/29[mon] update

農林漁業の仕事人file【林業/熱海亘さん】

最先端の大型機械を導入。
指先ひとつで伐倒や造材ができる時代になっています。

置戸町
熱海産業株式会社 専務取締役/熱海亘さん

働く環境の改善も追い風となり
若い世代や本州からの移住者も働く場に。

熱海産業の創業はなんと大正時代。置戸町の歴史とともに歩んだ、まさしく老舗企業です。今回お話を伺ったのは、同社の4代目となる熱海亘さん。代表取締役のお父様とともに、造林や木材の生産などの仕事に取り組んでいます。
「学校を卒業してしばらく派遣の仕事やアルバイトを経験し、22歳の時に置戸にUターンしました。父から『継いでほしい』と言われたことはありませんでしたが、もともとクルマや機械いじりが好きだったので、森の仕事もいいかなと(笑)」
現在同社のスタッフは15名。50代以上のベテランも在籍してますが、10〜20代の若者も働いているとか。
「釣りや田舎暮らしが好きで土木の仕事から転職してきた人、置戸町が開催している林業体験で仕事の面白さを知り入社してきた地元人、体を使った仕事をしたくて兵庫県から移住してきた人なども。特に若い世代は、自然の中で働きたいという思いが共通しているようですね」
かつては上下関係が厳しく、体力的にハードな上に休みも少ないという環境にあった森の仕事。しかし現在は、法令に従い労働環境をしっかり整備する会社がかなり増えています。もちろん熱海産業もそういった企業のひとつ。
「キツイだけの仕事には誰もついてこないですからね。週休のほか、一般企業と同様の長期休みもありますし、年度末の3月には2〜3週間の休暇も設けています。資格の取得もすべてバックアップしますし、賞与も年に3回支給しています」

タッチパネルのパソコンでパパッと操作。
巨木がわずか数分で正確な丸太に変身!

熱海産業が伐採や造林を担当している森林は、置戸町・訓子府町・美幌町の民有林や町有林。
「この一帯は、ほとんどが森林に覆われた山地。そのせいか、ほかの地域に比べても大型機械の導入はかなり早い方でした」
熱海産業にも大型コンボが5台あり、うち2台は樹木の伐倒から皮むき、玉切り(丸太づくり)までを一貫して行うスェーデン製の最新型ハーベスタ(伐倒造材機械)となっています。
「手作業は春と秋の苗の植え付けだけ。その他はほとんどの場面で機械が活躍しています」
ここで熱海さんから「ご覧になりますか?」というご提案が。さっそくハーベスタを格納する倉庫へと足を運んでみました。
まずはその操縦席を見てビックリ!大きなフロントガラスの側にあったのは、パソコンの画面。計器やスイッチなどが並ぶひと昔前の操縦席のイメージとはまるで違います。
「一つひとつの作業はもちろん作業の段取りや製造した木材の量まですべて、このタッチパネルのパソコン上で管理しています。ではそこの社有林で、実際に操作してみますね」
ハーベスタは1本のトウヒという針葉樹の前へ。大きなモーター音がしたと思うと、前方のアームに取り付けられたチェーンソーが回転し、あっという間に立木を切り倒します。次のローラーを活用した枝払いも一瞬、あらかじめ入力された数値どおりの5本の丸太が正確に切り上がりました。この間、わずか数分のできごと。
「従来チェーンソーで行っていた立材の集積作業も、今はこうして指先ひとつで簡単にできるようになっています。なにより大木を瞬く間に丸太にできるわけですからね、操作しててもスカッとするんです」
建設機械やメカ好きな人におすすめするのはもちろん、女子でも働けるはずと熱海さんは言います。

劇的な進化を果たした林業。
けれど昔も今も変わらないのは…

ここで熱海さんのお父さんにもミニインタビュー。昔と今、林業の仕事の内容はかなり変わったでしょう?
「昔は機械などなかったですからね。マドノコ(大きなのこぎり)を使い二人で力を合わせて木を倒したり、馬ソリに材木を積んで一日がかりで運び出すなど、苦労が多かったです。山奥の飯場に何日も泊まりこんで働いたこともありました。その点今は、機械も進化していますし働く環境も段違いによくなりました」
ただ昔と変わらないこともありますとお父さん。
「それは森を育てるという気持ち。農作物のように一年で収穫というわけには行きませんが、若い時分に自分が造林したり、間伐したりしてきた森が、健やかに育っていくのを見るのは本当にいいもの。この仕事一途のベテランが大勢いるのも、この気持を一日でも長く味わいたいからだと思いますよ」
それを聞いた熱海さん。ニッコリ笑いながら「まだ自分はその領域に達していないかも。父に比べたら自分はまだまだひよっこですね(笑)」
最新型の重機の模型とともに、これまでに所得した免許は約20種近くも。
実物はさすがに迫力がある。これまで手作業でやっていたことがこれ一台でできる。
操縦席にはタッチパネルのパソコンが。
伐倒した木を軽々と持ち上げる。確かにこれなら人は力が必要ない。
指定したサイズの丸太に切り分けていくことも簡単にできる。
熱海さんのお父さんとともに。
農林漁業の仕事人file
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