2017/12/18[mon] update

農林漁業の仕事人file.005【農業/船倉重信さん】

一般企業と変わらない各種制度や福利厚生を導入。
それが従業員のやる気と定着を促しています。

株式会社サンクローバー
代表取締役 船倉重信さん

「家族経営の限界」という課題を乗り越え、企業を設立。

ここは十勝の上士幌町。宮島山の裾野に横たわる広大な草原を舞台に、酪農を展開しているのが、株式会社サンクローバー。近代的設備環境もさることながら、他産業に負けない職場環境を備えていることで、各方面から注目を集めています。お話を伺ったのは代表の船倉重信さん。
「うちの会社が誕生したのは平成27年。搾乳牛350頭からのスタートでした」
同社がある上士幌荻ケ岡地区は、古くからの酪農地帯。しかし平成の中盤を過ぎる頃から経営難や高齢化などが原因となり、離農が相次ぎます。何とか残っていた酪農家もスタッフ不足、建物や設備の老朽化などの課題を抱えていました。
「それでも酪農が好きなんでしょうね、みんな何とか酪農を続けたいという思いを抱いていました。しかし家族経営では限界がある。そこで近隣の酪農家5戸が各々の搾乳牛や資金を持ち寄り、この会社を設立することになったわけです」
企業設立と同時にサンクローバーは、ホスピタル牛舎やロータリーパーラーを新設。さらに牛の飼料をトータルで管理するTMRセンターも併設させます。
「牧場の設備環境は一気に近代化し、作業効率も格段に向上ました。昔に比べると飛躍的に働きやすくなったと思いますよ」

スタッフ目線で、作業の効率化と労働条件の整備を実施。

サンクローバーの職場環境や労働条件とはどのようなものなのでしょう。
「現場での作業体系を「ロータリーパーラー(搾乳)」「フリーストール(餌やり)」「ホスピタル(分娩や治療)」「哺育(仔牛の育成)」の4つの部門に分け、専門のスタッフを配置して効率的に取り組みます。一日の作業は部門ごとに完結。他の部門の手伝いはさせません。早く仕事が完了した場合は、その分早く休憩に入ったり帰宅したりできます」
仕事時間は1日8時間、タイムカードを導入し残業はゼロが基本。月の休日は最低7日間で、有給を使って休暇を取ることもOK。プラーベートの優先も徹底させており、学校行事や家庭の事情があれば希望休を取るのも構わないのだとか。
「重労働や残業が続けば、作業の効率は悪くなりますし人件費もかさみます。なにより働く気が失せてしまうでしょう。それでは人材は集まらないし定着もしません」
さらに同社の魅力は待遇や福利厚生の面にも。
「家族手当、住宅手当、通勤手当、賞与はもちろん退職金制度も取り入れています。毎年4月には必ず昇給します。そうそう、社宅も完備しているんですよ」
いやはや、仕事環境の充実ぶりは、一般企業に負けない…ではなく、一般企業をしのぐほどです。

牧場運営の礎となるのは、従業員なんです。

牧場の入り口にある管理棟、その2階には広々とした食堂があります。同社は従業員の方々に朝と昼の食事も提供しているのです。ちなみに調理には船倉社長の奥様も参加してるとか。
「食事を共にすることで会話が生まれますし、従業員間のチームワークも高まります。何よりみんなが楽しそうに食事しているのを目の当たりにするのは、いいものですよ」
各種制度や仕事環境を現代スタイルにするだけではなく、こうした温もりあふれる職場づくりにも前向きな船倉社長。その温厚な人柄にも惹かれ、現在同社には36名の従業員が働いています。ちなみにサンクローバーは今日まで一度も人材募集をしたことがないのだとか。人手不足が深刻化する酪農業界においては画期的なことです。
「ついつい経営維持や拡大に目が行きがちだけれど、牧場運営の礎となるのは人。従業員がついてきてくれなければ、何もできません。だから私は今もこれからも、従業員第一主義。一日でも長く働いてほしいし、少しでも多く豊かさを感じてもらえるよう努力しようと思っています」
最近はこうした船倉社長の考えに共鳴し、自社の制度やスタッフ管理を見直す牧場主も増え始めているのだとか。変わり始めた酪農業界の仕事スタイル。その動向から目が離せません。
事務所はもちろん綺麗に整理されている
整備が行き届いている大規模牛舎は圧巻
最新のロータリー型ミルキングパーラー
お手洗いは男女別で個別ロッカーも
洗濯機やシャワールームも完備
みんなが喜ぶ手づくりのほかほかご飯
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