手稲区前田の事業所を訪れた際の第一印象は、まるで家のよう。玄関の先に開けていたリビングスペースには多くの利用者や職員が集い、にぎやかに談笑していました。
「どの事業所も中古の民家を改築し、事業所として利用しているんです」と答えてくれたのが八戸さん。所内の雰囲気そのままの柔和な笑顔が印象的です。
小多機事業所とは、通いを中心とし要介護状態や希望に応じ訪問や泊まりを組み合わせながら、入浴や食事などのサービス、その他日常生活のサポートを行う地域密着型サービス事業所のこと。
「利用者様の在宅での生活が継続できるよう支援する場であり、ご自宅の延長線上にある仮の住まいのような存在です。弊社の事業所をあえて家庭的な雰囲気にしているのも、家のようにくつろいでほしいといった考えがあるからなんです」
その昔、利用者の家族がついつい口にしていた「(介護施設に)預ける」という言葉。それを耳にしたお年寄りの多くは、深く傷ついていたそう。
「尊厳と誇りを持って生きていっていただくためには、介護施設は預かる場ではなく、利用者様本人が行きたくなるような空間でなければなりません。特に小多機事業所は介護の入口にもなる施設です。穏やかな雰囲気はもちろん職員の対応も、具体的なサービスやサポートも利用する側の本意に沿った内容にすべきだと思っています」