注目企業のトップに聞くin北海道 クラフトビールを通じて世界へ届けたい北海道発「至福の時間」。【SOCブルーイング株式会社】

2026年8月10日 公開

クラフトビール「ノースアイランドビール」の醸造・販売を行っているSOCブルーイング株式会社。広島県出身の坂口典正さんをはじめとする4人で2002年に創業したブルワリーだ。今でこそ北海道を代表するブランドを確立したが、これまでの道のりは決して順風満帆ではなかったという。代表取締役の坂口さんにこれまでの歩みと、世界に向けた挑戦について話を伺った。
代表取締役/坂口典正さん
1968年、広島県広島市生まれ。山口県の大学卒業後に上京し、ゴルフ場でフロント業務、企画、副支配人などを経験。北海道への移住を経て、2002年札幌市にて前身の有限会社カナディアンブルワリーを創業。

広島から北海道へ
ビール造りとの出合い。

広島県で飲食店を営む祖父や父の姿を見て育ったという坂口さん。海が好きだったことから大学卒業後は上京し、リゾート関連の企業に入社する。ところがバブル崩壊のあおりでマリンリゾートが縮小し、ゴルフ場へ配属。そこで手腕を発揮し、20代半ばで副支配人として財務や人事、企画など幅広い業務を経験していった。転機となったのは、同期の友人からの誘いだった。
「『北海道でビール造りをしないか』と言われて、最初は断っていたんです。でも、以前から北海道のブランド力には魅力を感じていましたし、ある時ニセコの醸造所に日帰りで見学に行ってみたら思った以上に面白いビジネスモデルで魅了されてしまって…。思わず、私の方からやろうと言ってしまいました(笑)」
当時小学生だった長女の後押しもあって、2002年5月、妻と子どもを連れて北海道へ移住した坂口さん。カナダでのブルワー修業経験を持つ若者2人と共に、4人で現在の前身となる「有限会社カナディアンブルワリー」を創業した。

失敗を重ねて
見えてきた成功への道。

無事に創業を迎えた同社だったが、ヒットまでには非常に長い道のりがかかったという。まずは醸造免許の取得にかかったのが1年間。満を持してビール造りに臨むも、試作品は全く売り物にはならない味だった。
「発酵が上手くいかず、酸みと苦みが混じった『甘苦いリンゴジュース』を思わせる、はっきり言うと極めておいしくない味でした(笑)。ですが、1仕込み50リットル単位で造れる小規模な設備だったので、失敗してもダメージは少ない。だからこそ、思い切って捨ててまた次に挑戦する、という判断ができたんです」
安定したおいしさが造れるようになったのは、6、7年が経過したころ。全国的な品評会で高い評価を受け、クラフトビールブームも後押しして売上が伸びていった。2009年には、醸造量を増やすために工場移転を決める。その地こそ、道産小麦の産地として名高い江別市だった。
「札幌東区の石造りの玉ねぎ倉庫で開業したこともあり、その趣も大切にしたかったんです。折しも江別産ブランド小麦、ハルユタカを使ったビールを造り始めたころでした。レンガと小麦という2つのピースがピタッとはまったのが、江別だったんです」
同時に札幌市中央区、二条市場近くにビアバーもオープン(現在は移転)。ブランド名も「ノースアイランドビール」として一新し、名実共に北海道を代表するブルワリーとしての第三章が始まった。

コロナ禍を乗り越え…
挑戦したい世界への夢。

北海道のブランドとして確立した10年間を経て、やがて新型コロナウイルスの感染拡大という再びの苦難が到来した。取引先の休業が相次いだだけでなく、直営のビアバーも営業が難しい時期が続いたが、坂口さんは「誰一人解雇しない」と従業員たちに約束をしたという。
「店も工場も働く人がすべてです。経営理念にも掲げていますが、職場は働く人それぞれの個性を尊重し、ブランドを通じてみんなの夢や希望をかなえる、そんな場であってこそ良い会社になると信じているんです。幸いコロナ禍の直前にECサイトも準備していましたので、そこが事業継続や雇用を守る上での大きな助けとなりました」
幾度もの苦難を経て、坂口さんがこれから目指すのは、日本を代表するブランドへと成長させることだ。
「ビールを通じてみなさんへ届けたいのは『至福の時間』です。北海道の原材料を少しでも多く使用して、全世界からお客様を集められるぐらいの品質を日々、目指しています。最近ではかつての創業メンバーのように『北海道でビール造りがしたい』と全国から若手が集まってくれるようになりました。今でも失敗は付き物ですが、お世話になった江別、北海道へ恩返しするために、これからも仲間たちと挑戦を続けていきたいと思います」

SOCブルーイング株式会社

2002年、札幌市東区にて有限会社カナディアンブルワリーとして創業(2011年社名変更)、翌年BOP(小規模醸造設備)にてビールの醸造を開始。2009年、江別市に移転しブランド名を「ノースアイランドビール」に変更、札幌市中央区に「Beer Bar NORTH ISLAND」をオープン。江別産小麦や道産麦芽を使用した定番5種の他、シーズンごとに素材にこだわった限定ビールも醸造・販売している。
江別市元町11-5
TEL 011-391-7775

https://northislandbeer.jp/
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。

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