中学卒業後、さまざまなアルバイトを経験したという品堀さん。20歳のころに中標津のベーカリー「ぴえ〜る」で働き始めたのも、当初は何気なく応募したことがきっかけだったと切り出します。
「けれど、そのお店でパンの製造に携わるようになると、どんどん『作る』魅力にのめり込んでいきました。気温や湿度が違うと仕上がりが変わり、技術を高めるほどにおいしくなっていく…そんな奥深い世界だったんです」
品堀さんは3年後にはアルバイトから正社員に昇格し、26歳のころに店長へとステップアップ。ホテルや学校に卸す商品の打ち合わせを任され、時にはお客様の愛犬を模したオリジナルパンの依頼にも応えるなど、仕事の手応えは大きかったといいます。
「ただ、心のどこかで自分の学歴に負い目があって…。人生の中で一度はデスクワークを経験したいと思い、事務職にあこがれるようになりました」
勤めていたベーカリーは家族経営の小さな店舗。突然の退職の申し出に最初は驚いていましたが、家族同様に接してくれたからこそ最終的には笑顔で背中を押してくれたそうです。
「今でもつながりは消えていません。私を大きく変えてくれた一番感謝すべき出会いです」