株式会社興和工業

酪農家にとって牛は命。牛の育成には多くの時間と費用がかかります。なのでその育成を左右する牛舎はとても大事な存在なのです。もし牛に病気やケガがあれば経営にも当然ダメージがあります。最近では北海道でも夏は暑く、牛の熱中症の危険性も高まっており、暑さ対策がなされた牛舎かどうかで生産量にも大きな差が出てきます。
興和工業はこうした酪農経営に直結する「牛の健康」に配慮した牛舎を作るプロ集団。暑さ対策では10年以上前から屋根に断熱材を用いるなどの工夫を重ね、牛舎用の空調設備を開発し、特許も取得しました。「興和工業の牛舎の牛はイキイキしている」そんな声もよくいただきます。
働く人の作業がしやすいことも重要です。効率よく作業をこなせるように作業の導線を考えた設計や、作業負担が少なくなる装置を取り付けたりと、依頼主に対して「最善」を提案をすることが我々の役目であり、使命だと考えています。
常に改善の手を止めないのも当社の社風。ひとつの仕事が終わるたびに、もっと工夫できたことはないかと振り返り、次に活かします。こうしたことの積み重ねが当社の今につながっています。

当社には2つの工場があり、ひとつの工場では牛舎の柱・骨組みになる鉄骨を、もう一方では鉄の柵や囲い、ゲートなどいわゆる金物を作っています。工場でも常に改善を模索し、もっと効率的な方法はないか、もっとお客さんのニーズにあった形はないかと試行錯誤を重ねています。
牛舎建築の経験がある人は少ないでしょうし、一般の建物とも異なる部分が多いので、入社時は知識も技術も必要ありません。先輩たちから少しずつ学んでステップアップしてほしいと考えています。
当社の魅力は、皆がいきいきと働ける雰囲気の良さだと思います。部下から上司に対しても話すのをためらうようなことはありませんし、冗談を言って笑い合うのも日常茶飯事。困ったことがあれば何事も仲間たちが支えてくれます。切磋琢磨しながら仕事をしていますが、私達はチームであり、お互い大事な仲間です。思いやりと助け合いを大事にしています。長く働く人が多いのも、そういう居心地の良さがあるからでしょう。
ここ数年は働き方の見直しも進んでいて、残業は少なくなり、休みも増えています。子供の行事など家族の事情で休んだりするのもまったく問題ありません。安心して働ける職場ですよ。

建物の骨組みから扉や柵といった金物など、牛舎に必要な部材の多くを自社制作できるのが興和工業の強みです。他社では建物以外は海外から輸入していたりもしますが、それだと結果的にコスト増になったり、細かいニーズにあわないこともあります。その点、当社はコストを抑えながら細かなカスタマイズも可能。そうしたことも選ばれる理由になっています。
｢牛にとっての快適性を重視する｣そんな当社の基礎を作ったのが先代社長です。建築はもちろん生き物への興味が強かった先代は、牛の生態を徹底的に研究し、日本で初めてフリーストール牛舎を考案した人なんです。私自身入社したて頃｢コンクリートで固めた牛舎の地面を裸足で歩けるか｣と聞かれたことがあるんです。｢人が痛いと感じるものは牛も痛い｣そんな視点を持つことの大切さも教えられました。
当社の良いところは、自主性も重んじるところかもしれません。もちろん最初は先輩について学んでいくことになりますが、ある程度できるようになれば、細かいことは言いません。きちんと報告･共有をしてくれていればOK。自分で考えて動くからこそやりがいも大きいし、仕事をやり遂げた時には大きな達成感が待っています。

建築のことも酪農のこともまったく知りませんでしたが、新しい仕事にチャレンジしてみたいと10年前に転職。不安はありましたが、会社の人たちが楽しそうに働いている様子に惹かれ、一歩を踏み出す決意をしました。
段取り管理の仕事にはプランニングも含まれています。牛舎や倉庫を建てたいお客さんから要望を聞き取ることから始まります。建てる場所や牛の頭数などをふまえて打合せを重ねながら建築プランを作ります。設計・作図は専業スタッフがおり､協働しながら作業を進めていきます｡
プランが固まれば、資材や協力会社の職人さんを手配。工事が始まれば進捗も管理します。現場が遠ければ泊りがけで出張になります。
長年弊社の現場を手がけてくれている職人さんなので、こちらが困っていれば「どうすればできるか」と一緒に知恵を絞ってくれます。経験が浅くても､職人さんとの連携が取りやすいです｡
お客さんと長く関係が続いていくのがこの仕事の醍醐味。牛舎が完成しても修理やメンテナンスが必要になれば声をかけてもらえ、いつしか友達のような関係になることも多いです。何かあれば「伊藤さん！」と電話をくれる。頼りにされるのは嬉しいものです。

前職は介護スタッフでしたが待遇が向上しないことから転職を決意。ものづくりに興味があって､自分にあった待遇を用意してくれた当社に10年ほど前に入社｡当時は溶接の経験も、建築の知識もありませんでした。
自分が働くのは牛舎で使う鉄の柵や扉などの金物を作る工場。牛舎の建築が決まると内部の図面を受け取り、必要な設備を作っていくというのが基本的な流れです。材料を発注して、必要な長さに切って、溶接して。相手は牛なので何を作るにしても頑丈であることが重要です。長く使うものなので耐久性も高くなくてはいけません。溶接では金属同士がしっかりと溶け込んでいるかどうかを常に気にしています。自分が作った金物が何年も問題なく使われているのを見ると、なんとも言えない嬉しさがこみ上げてきますね。
お客さんの要望を受けるのは基本的に段取り管理ですが、工場にいる自分も意見やアイデアを出せるのがウチのいいところ。ちょっとした思いつきにもしっかり耳を傾けてくれて、自分のアイデアが採用されそれを見た別のお客さんが「同じものがほしい」と言ってくれたことも多々ありました。自分の仕事が誰かの役に立つ。そんな実感を得られるのも当社の魅力です。